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アメ横へご当地アイドル
新しい“にぎわい”の創出へ

 

▲多数の店舗が立ち並ぶアメ横商店街。中央がアイドル劇場のあるアメ横センタービル

買い物客でごった返す光景が“歳末の風物詩”になっている東京・上野のアメ横に、地方で活躍しているアイドルグループ向けの劇場が登場した。その名も「アメ横アイドル劇場」(上条昌生代表)。場所はNHKドラマ「あまちゃん」のロケ地にもなったアメ横センタービルで、1年間限定の試み。(公明新聞2014年6月5日付)

東京・上野に劇場開設

「アメ横アイドル劇場」はアメ横センタービルのオーナーらの協力を得て、同ビル5階の催事場に今月末、本格オープンする予定。現在、簡易な舞台を設置し、公演も行っている。座席と立ち見で200人程度を収容できる。運営費は各公演のチケット代で賄い、出演者の負担はない。

会場の一角には売り場が設けられ、出演者の交通費などを援助する企業に対して販売スペースを無償提供する。アメ横には年間約450万人が訪れ、購買力のある外国人観光客も増えている。販売スペースは企業にとって自社製品を外国人にアピールできる場にもなる。同劇場関係者によると、すでに数社から問い合わせがあるという。

「アキバ」に負けるな

劇場設置の狙いは、上野の新たな観光資源をつくること。東京駅周辺では開発が進み、アイドル劇場が集積するアキバ(秋葉原)には若者が多く集まる。若い客を引き付けることができないと「客離れが進んで上野が廃れていくのでは」と同劇場の関係者は危機感を抱く。

地方のアイドルを招くことでアキバとの差別化を図る。アイドルによる商店街の練り歩きなども企画し、アメ横全体のにぎわい創出をめざす。同劇場の上条代表は「商店街の集客と併せ、日本独特のアイドル文化を発信する観光コースの一つとして、多くの外国人を呼び込みたい」と意欲的だ。

公演は随時。7月19、20日には、東日本大震災の被災地復興イベントとして、仙台のご当地アイドルが出演を予定。5月にAKB48の握手会で傷害事件が起きたこともあり、「安全対策には十分配慮する」(同劇場関係者)としている。公演情報や問い合わせ先は「アメ横アイドル劇場」ホームページで確認できる。

▲「JK21」のパフォーマンスを見ようと、全国から約50人のファンが劇場に集まった=5月25日 東京・台東区

「アメ横アイドル劇場」を訪ねると、入り口には、今か今かと公演を待ちわびるファンたちが、あふれ返っていた。

この日、ワンマンライブを行ったのは、関西地方を中心に活動するJK21(ジェイ・ケイ・トゥーワン=「JAPAN・関西・21世紀」の意味)。2010年にメジャーデビューを果たすと、11年にはCMソングを担当。テレビやラジオ番組に出演するなど、人気上昇中のガールズユニットだ。同劇場での公演は今回が2回目だという。

「上野は庶民的で新鮮な場所。この劇場は奥までよく見えるので、入場してきた人の顔がよく分かります」と話すのは、同ユニットのリーダーの新垣桃菜さん(20)。センターポジションを務める田中梨奈さん(20)は、「新しいファンを開拓するチャンス。今後の目標は全国制覇です!」と意気込む。

開場すると、ペンライトを持ったファンが続々と入場してきた。グッズ売り場には、アイドルの生写真やリストバンドなどを求める人が列をつくり、中には背中に「21」と入ったTシャツを着ている人も。

同ユニットが舞台に登場すると、場内は拍手と歓声に包まれた。早速、1曲目のパフォーマンスがスタート。すでに会場後方では、アイドルたちと同じダンスを踊りながら熱心に応援するファンの姿があった。

全12曲を熱唱し公演が終了。大阪府在住の40代男性は、「きょうは初めてアメ横に来ました。食欲をそそる飲食店が並ぶ魅力的な商店街ですね。帰りに立ち寄ってから大阪に戻ろうと思います」と語った。

地方の魅力を発信

「くまモン」(熊本県)や「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)といった「ご当地キャラクター」に負けず劣らず、「ご当地アイドル」の人気は高い。地方都市などを拠点に、オリジナルの歌や踊りを披露し、地域に“元気な風”を送る。その数は全国で400ともいわれる。プロデュースするのは芸能事務所、自治体や青年会議所などさまざまで、地元の魅力を発信する役割を果たしている。

高知県の観光特使に任命された「はちきんガールズ」は、「土佐の文旦」「高知はおさかなパラダイス」などの持ち歌で地元特産品をPR。川崎市では「川崎純情小町☆」が同市イメージアップ事業で“公認”され、市の行事などで盛り上げに一役買っている。

岡山県津山市の産業振興課が同市の事業として2011年に結成し、今年3月まで活動した「SakuLove」(さくらぶ)は、「これまでのPRとは違う、新鮮なものとなった」(同市)と宣伝効果が高く評価された。