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導入広がる限定正社員

 

勤務地や職種、労働時間などが限定される「多様な正社員(限定正社員)」を導入する動きが企業の間で広がっている。限定正社員の利点や企業側の狙いなどについて解説するとともに、公明党雇用・労働問題対策本部の桝屋敬悟本部長(衆院議員)に普及への課題を聞いた(公明新聞2014年4月21日付)

多様な働き方可能に/勤務地、職種、時間など制限

限定正社員には、決められた勤務地で働く地域限定正社員や、フルタイム勤務よりも勤務時間が短い短時間正社員などがある。給与は一般正社員に比べて低いが、一般正社員と同様に原則、定年まで働き続けられ、パートやアルバイトなどの非正規労働者よりも、雇用条件は安定している【表参照】。

限定正社員は、育児・介護などで転勤や残業などが難しい人にとって働き方の選択肢が広がり、非正規労働者にとっては正社員化の機会となる。企業にも労働者の離職防止や優秀な人材確保が期待できるなど、利点が多い。

このため、限定正社員を積極的に登用する企業は増えている。

例えば、日本郵政グループは今年度、非正規で働いていた月給制契約社員を、転居を伴う転勤などがない正社員(地域限定正社員)として約4700人登用。来年度は新卒者も含め5000人以上採用する予定であり、「雇用の安定化に寄与する」(日本郵政株式会社広報部)のが狙いだ。

衣料専門店「ユニクロ」を運営する株式会社ファーストリテイリングも今月、パートやアルバイトで働く約3万人のうち半数を、転勤のない「地域正社員」に採用する方針を発表している。

厚生労働省が2011年に実施した調査でも、51.9%の企業が限定正社員を導入していると回答し、導入が進んでいる【グラフ参照】。

今後、限定正社員の導入を加速させる要因の一つとみられているのが12年に成立した改正労働契約法だ。同法は、同じ職場で5年を超えて働く契約社員やパートが希望すれば、無期雇用に切り替えるよう企業に義務付ける。その無期雇用の受け皿に限定正社員が活用される可能性が高く、普及の余地は大きい。

解雇権乱用は認められず/労使合意のルールづくり不可欠

広がりをみせる限定正社員だが、課題がないわけではない。

労働者からは「工場の閉鎖などで、決められた勤務地や仕事がなくなった場合、限定正社員は解雇されやすいのではないか」と身分を不安視する声が出ており、懸念を払拭していく必要がある。

解雇に関する一般的ルールを定めた労働契約法では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効とされている。

厚生労働省は「解雇に関する一般ルールは、限定正社員だからといって変わるものではない」(労働条件政策課)と説明する。そのため企業が限定正社員を解雇する場合でも、一般正社員と同様に、職種転換や他の勤務地の紹介といった解雇回避の努力を行わなければならない。解雇権の乱用は認められないというわけだ。

ただ、限定正社員を対象にした企業の労働契約や就業規則を明示していない企業は少なくない。待遇や労働条件を明らかにするため、労使双方が納得できるルールづくりが求められる。

政府は昨年9月から、限定正社員の普及に向けた有識者懇談会で、導入に際しての企業の留意点などを議論している。今夏をめどに報告書をまとめる方針だ。

雇用の二極化(正規と非正規)解消へ必要

公明党雇用・労働問題対策本部長  桝屋 敬悟 衆院議員


日本人の働き方をめぐっては、雇用が不安定な非正規雇用が増える一方、配置転換や残業などが多い正社員は、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)で悩んでいるという課題があります。

こうした非正規社員と正社員の二極化の問題を解消する上でも、限定正社員の普及は鍵を握ります。

限定正社員の普及には、労使双方にメリットがあることを大前提とすべきです。今、政府の検討会で限定正社員の雇用管理の留意点を議論していますが、注視したいと思います。

一方、限定正社員は解雇されやすいのではないか、と懸念する声を耳にします。しかし、解雇に関する一般的ルールの適用は、限定正社員も一般正社員と変わりありません。限定正社員の普及は人材の有効活用が目的であり、労働者を解雇しやすくするためであってはならないと考えます。

公明党は昨年4月、政府に労働政策を提言、その中で「勤務地限定や労働時間限定など、多元的な働き方を普及・拡大するための環境整備を進める必要がある」と指摘しました。公明党は、非正規労働者のキャリア・アップや限定正社員へのステップアップを積極的に推進していきます。