Clip

広がる「ふるさと納税」

制度開始から今年で6年を迎える「ふるさと納税」。2013年度は、過去最高の納税額を記録する自治体が相次ぐなど、着実な広がりを見せている。寄付者への特産物など贈呈品の充実や納付手続きの簡素化など、自治体ごとの工夫が奏功しているためだ。各地の現状を追ってみた。

寄付件数、4年で2倍超/特産品の贈呈などが魅力

ふるさと納税とは、自分の古里の自治体や応援したい都道府県および市区町村に対して寄付をすると、寄付金額のうち2000円を超える分について、所得税が寄付した年から、住民税は翌年度から控除される制度だ【イラスト参照】。寄付者の所得や寄付額に応じて控除額は変動する。夫婦と高校生の子ども1人で収入が700万円の家庭をモデルケースとした場合、4万円を寄付すると3万8000円分が控除されることになり、寄付者の負担は2000円で済む(詳しくは各自治体に問い合わせを)。

控除を受けるためには、確定申告をしなければならない。その際、寄付先の自治体から送られてくる領収書が必要となる。毎年1月1日から12月31日までに行った寄付について、翌年に確定申告を行うことになる。なお、13年中に寄付している場合には、所得税は13年分が、住民税は14年度分が控除される。

ふるさと納税の大きな魅力の一つが、寄付者に対する特典だ。多くの自治体が一定金額以上を寄付した寄付者に対し、特産品などを贈呈している。

寄付金は地域活性化や産業、教育振興など各自治体の行う事業に充てられるが、寄付者はこうした事業の中から、寄付金の使い道を指定することもできる。寄付者の意向を尊重するための仕組みだ。もちろん古里以外の自治体にも寄付可能で、複数自治体に寄付しても構わない。

これまでの実績について総務省は昨年、制度開始以来初となる全国調査を実施した。都道府県と市区町村を合わせた寄付件数が、08年の約5万件から12年には約12万件となるなど着実に増加している。

納付手続きも、都道府県の約8割がインターネットでのクレジットカード決済を導入するなど、簡素化を進めてきた。調査結果を踏まえ、同省は納付手続きの多様化や、さらなるPR強化などに取り組むよう、各自治体に促している。

「くまモン」人気が追い風に

【熊本県】13年度の納税件数が943件となり、過去最高を記録した昨年度を超えている(13年11月末現在、納税額は2233万円)。地域活性化や産業振興に活用される「ふるさとくまもとづくり応援分」と「夢教育応援分」が寄付金の使い道としての大きな柱だ。夢教育応援分は、寄付者が希望する高校などへ寄付金を交付するもの。地元高校への愛着心が強い県民性を反映した取り組みだ。

爆発的なブームとなったゆるキャラ「くまモン」人気も追い風の一つ。特典にも、くまモングッズセットが用意されているほか、昨年11月25日からは、三つ目の使い道として新たに「くまモン応援分」を追加した。くまモンの活動資金に使われるが、既に全国各地から寄付が相次ぎ、「予想以上の結果」(県担当者)になっている。

寄付者への贈呈品には人気の「くまモン」のグッズセットも ▲寄付者への贈呈品には人気の「くまモン」のグッズセットも

共同窓口の設置も寄付増加の要因の一つ。この窓口では、県への寄付とともに、県内市町村への寄付も受け付けているほか、県と市町村の両方に対してワンストップ(1カ所)で寄付ができる。同県を含めて全国で3県しかない先進的な試みだ。

県担当者は「寄付増加は熊本県の認知度が高まり、愛着を持つ人が増えてきた証拠であり、うれしい」と喜ぶ。

津波対策基金に積み立てて活用

【静岡・磐田市】13年度の納税額が1500万円を突破(13年10月末現在)。県内トップだった昨年度の総額を既に上回っている。納税件数も1476件で、一昨年同月と比較すると約5倍の伸び率だ。

3000円以上の寄付に対し贈呈される「米子市民体験パック」▲3000円以上の寄付に対し贈呈される「米子市民体験パック」

同市では1万円以上の寄付に対し、5000円相当の特産品1品を贈呈している。時期限定の品も含めた15種類の中から選択できる。県の名産である、ウナギ3本セット(かば焼きか白焼き)の人気が高いという。県内でウナギを特典として贈呈しているのは同市だけということもあり、贈呈数も1281件と最多だ。

寄付金は原則として、南海トラフ地震などによる津波から市民の生命・財産を守るため昨年末に設置された、「津波対策事業基金」に積み立てられる。防災・減災など必要な事業の財源として活用されることになっている。