ドクターヘリ、今後の課題
2012年10月10日現在、ドクターヘリは32道府県で38機(東京都は独自の東京型ドクターヘリを導入)が配備され、11月中には新潟、山形、でも導入される予定です。
ドクターヘリの配備を後押ししてきたのが公明党。地方議員と国会議員が連携して導入の必要性を強く訴え続けてきた結果、2007年6月に全国配備を推進する「ドクターヘリ特別措置法」が制定されました。高いコストを理由に多くの自治体が導入に二の足を踏んでいた状況を打破しました。同法の成立後、導入されたドクターヘリは、なんと27機にも上ります。
しかし、ドクターヘリの配備はまだ十分ではありません。
患者の救命率を上げるには、15分以内に適切な処置が必要とされています。この「15分ルール」を実践しているドイツでは、ドクターヘリ導入後の20年間で交通事故の死亡者数を3分の1に激減させました。もちろん、日本においても「15分ルール」の確立は強く求められています。
「15分ルール」で全国をカバーするためには、最低でも50機のドクターヘリが必要。現在、未配備となっている自治体へドクターヘリの導入は早急に進めなければなりません。また、救命率向上のためには、夜間飛行の制限緩和なども検討されるべきでしょう。
救急医療の命題~急ぐべき「15分ルール」の確立
医療過疎の地域などで救急医療の確保に大きな成果を残しているドクターヘリ。しかし、都市部を含め全国的に「15分ルール」を確立するためには、24時間365日対応の救急相談窓口の整備を含め、救急医療体制の再構築が必要です。
公明党では、真に緊急性のある人がドクターヘリやドクターカー、救急車などのあらゆる手段を使って、通報から15分以内に医師に診てもらえる環境づくりを急いでいます。救急医療情報システムの充実など医療と搬送の連携強化、ER(救急治療室)の拡充、救急医療を担う人材の育成、予算の確保など、救急医療を取り巻く諸対策も進めています。
これらの要となるのが「救急医療基本法」(仮称)の制定です。
公明党が制定を目指す「救急医療基本法」とは
- 全国に400 カ所のER(救急治療室)を整備
- 全国のER(約150カ所)や救命救急センター(約200カ所)を整備拡充し、24時間、すべての救急患者を受け入れるER型救命救急センターを配備します。救急専門医などの養成を進め、将来的には、全国400カ所の整備を行います。
- ドクターヘリの全国配備50 機の促進と機能強化
- 運航経費の実態に見合った補助を行い、2012 年をめどに全国に50機の配備を目指します。また、フライトドクターなどドクターヘリ関係医療スタッフの育成とともに、日没後の救急対応が可能となるよう、山間部など医療過疎地を中心に夜間照明付きのヘリポート(災害広場兼用)の整備を推進します。
- 都市型ドクターカーの普及を推進
- 都市部の救急医療体制の強化には救急車搬送に加え、ドクターカーの普及が不可欠です。ドクターカーの適切な配備を実現するため、維持運営費を拡充します。
- 救急医療を補強する「ドクターカー」と「消防バイク」へ
- 小児集中治療室(PICU)を備えた小児救命救急センターを整備
- 小児集中治療室(PICU)を備えた小児救命救急センターの整備を拡充します。小児救急体制を強化するため、小児救急の専門医を育成し、全国に50カ所のPICUを整備します。
- 災害医療体制の充実強化
- DMAT(ディーマット)体制の拡充や広域連携の強化および、人材養成や必要な資機材を着実に充実します。
※DMATとは、大地震や航空機・列車事故といった災害時に、被災地に迅速に駆け付け、救急治療を行うための専門的な訓練を受けた医療チーム。DisasterMedical Assistance Teamの略称。