現場を歩く議員だからこそ医療現場の心をくみ取り労苦を惜しまずすぐに動いてくれた
婦人科医 平園 賢一氏
最近まで、子宮頸がん検診のテレビCMがよく流れていました。そのCMを見るたびに、一人でも多くの女性に子宮頸がん検診を受診してもらいたいと思っていました。
婦人科医は、子宮頸がんなどの女性特有のがんで苦しむ女性をそばで見ていますので、女性の健康の大事さに非常に敏感です。女性の健康がいかに家庭、社会の健康につながっているかを、肌身で知っているからです。
しかし、政治は主に"男"たちが動かしているのが現実です。本来なら、女性、母親を守る子宮頸がん対策は、国の根幹をなすべきなのに、私たち婦人科医がいくら提言しても、取り上げてくれませんでした。
厚生労働省は2004年、市区町村が行う子宮頸がん検診の対象年齢を30歳から20歳に引き下げる代わりに、1年に1回だった検診回数を2年に1回に変更しました。対象年齢の引き下げは歓迎でしたが、検診受診率が非常に低い中で検診回数を減らせば、検診を受けない人が一層増えることは明らかでした。この変更に、私たち婦人科医は危機感を強めていました。
そこで、私は地元の神奈川県平塚市の検診を年1回に戻し、国の政策を自治体から変えようと決意しました。
公明党は以前から、女性専門外来や乳がんのマンモグラフィー検診の普及などを推進し、女性の健康のために本気で動く政党でした。さらに、地方議員と国会議員の連携が密なので、地方から国政を変えるという、今回の取り組みにピッタリだと思いました。
また、急を要する問題であり、期間を決めてきっちり結果を残せる立場と実力がある議員でないとできません。それには、実行力、実績を兼ね備えた市議でなければならず、この条件に合うのは、公明党の市議以外にはいませんでした。
05年5月、公明市議に電話したところ、快諾してくれ、市と掛け合ってくれました。それだけでなく、すぐさま私が紹介した自治医大の今野良教授を訪ね、子宮頸がんの問題について詳しく調べるなど、できる限りの手を尽くしてくれました。この結果、07年度から平塚市で年1回の検診が復活したのです。
さらに、この市議が問題を国会議員につなげてくれたことで、子宮頸がん対策の取り組みは、公明党の議員ネットワークに乗って、瞬く間に全国に広がり、検診無料クーポンの配布や予防ワクチンの承認、自治体による接種費用の助成など、かつてなく前進しました。この実現のスピードには、本当に驚きました。
子宮頸がん対策は、多くの関係者の協力でここまで進みましたが、私の相談を親身になって聞き、「一緒にやろう」と動いてくれた一人の公明市議が全ての始まりであり、後に大河となる最初の一滴だったと思います。現場を歩いている議員だからこそ、医療現場の心をくみ取り、労苦を惜しまず、すぐに動いてくれたのだと思います。感謝の思いが尽きません。
99.9%の自治体が接種費用助成へ
無料クーポンで受診率、発見率が向上
子宮頸がん対策は、2009年6月から、子宮頸がん検診の無料クーポンの配布が実施されたほか、同年10月に予防ワクチンが承認され、国内の一般的な医療機関で予防接種ができるようになりました。
無料クーポンの配布では、検診受診者数が約15%増の146万人になり、このうち、子宮頸がんになる前段階の「異型上皮」の発見率も向上しました。子宮頸がんの早期発見、早期治療に効果を挙げています。
また、3回の接種で約5万円の費用が掛かる予防ワクチン接種への公費助成は、各地の公明党地方議員の取り組みで、09年12月ごろから広がり始めました。
さらに、10年度補正予算で国が助成費の半額負担を決め、費用助成を実施する自治体が大きく拡大し、11年度中に、99.9%の自治体が費用助成を実施する予定(10年12月調査)です。
なお、今回の東日本大震災で他の自治体に避難している被災者も、避難先の市区町村が実施するワクチン接種の助成を受けることができます。詳しくは、避難先の市区町村にお問い合わせください。
公明党は10年より、子宮頸がんの確実な予防を図るため、ワクチン接種と検診の国庫補助などを規定した「子宮頸がん予防法案」の成立に全力を挙げています。