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これから日本が目指すべき自転車活用の在り方についてお聞かせください。
古倉氏
自転車先進国はそれなりに自転車をはっきりした位置づけと考え方や哲学をもっているということです。各国を見ると1990年台から2000年台の初めに国の計画が出そろっています。そしてこれを基本にして、国が公共団体を指導して、自転車政策を進めるというようになっています。日本は、何でもかんでも地方分権のためか、国レベルの自転車計画を作ろうとしません。また、今回、ガイドラインを作りましたが、地方へ行くと、国が提言しただけでわれわれは守れませんという言い方をしています。もっとしっかりと強力な国の方針の提示と誘導が必要です。アメリカでは地方に自転車担当官を置かない州は補助金を出さないぞと脅かしています。日本でそれをやったら怒られそうですが、そこまで頑張った国としての位置づけをしているからこそ、地方で自転車計画が進んでいくのではないかと思います。
古倉氏
たとえばロンドンの「自転車革命2010」では自転車を唯一最高の交通手段と位置付けて通勤用の専用空間を整備しています。コペンハーゲンでは雪が降った場合、真っ先に自転車レーン用の除雪車で除雪します。自動車の車道を除雪するのではないのです。ここまで面倒を見ているからこそ、ちゃんと自転車利用者がついてくるわけです。ポートランドにおいては徹底した住民参加によって、自転車ネットワークを作ろうとしています。これら3つの先進都市を見た時、注意をしなければならないのは、各論の項目としては日本と大きく変わらなく、それほど目新しいものはないということです。走行環境を整備しましょう、駐輪場をつくりましょう、走行地図を作りましょう、ルール、マナーを守りましょう、これらはすべて同じです。何が違うかというと、自転車の位置づけです。ロンドンでは自転車をトップに位置付けていますし、コペンハーゲンやポートランドではクルマよりも優先だとしています。こういう都市ですと、車道の中に自転車のレーンを作るといっても、自転車の方が優先という位置づけがありますから、クルマや沿道のお店から反発されてもブレないで空間を提供できるということです。各論は同じようなことが書いてあり、各論を見ても、新しいシステムなどありますが、これ自体が先進的というわけではないのです。総論的なものが先進的なのです。自転車の先進性は、施策体系の総合性、体系性、目的性に特徴があります。総合性は他の交通との関係、自転車とクルマ、公共交通との関係・連携などです。体系性も総論がしっかりしている。目的性も通勤や買い物や観光などとはっきりしているからしっかりしたものを作れる。
古倉氏
日本はほとんどが各論先行しており、走行空間計画などは自治体は結構作っています。これは明らかに各論の中の一つの項目であって、全体の体系の中で位置づけていない。なんでそこにその空間をつくる必要があるのかという目的やメリットがわからないし、自転車を優遇するということもはっきりしていない。ましてや交通分担率も決めてしていないし、事故率の減少の目標もないと、こういう哲学がない状態で各論を先行させてしまっても効果がない自転車計画や自転車道になってしまうと思います。しかも残念ながら、自治体で各論のみの計画を含めて自転車計画をもっているところすら1割しかありません。これからしっかりとした総論を作ったうえで自治体の計画を作っていってほしいと思います。
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