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自転車を活かす道

古倉宗治氏インタビュー 「国は体系的な自転車計画の策定を」

Profile:三井住友トラスト基礎研究所 研究理事 古倉宗治(こくら・むねはる)氏
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自転車通勤をする人も増えていますが、企業としてはどのような対応をしていけばいいのでしょうか。
古倉氏
企業にとって、自転車利用の促進は大きなメリットがあります。その第一が生産性の向上につながるということです。自転車通勤によって、心身の健康、ラジオ体操の必要がない人がたくさん出れば生産性は向上するはずです。それから経費も削減できるはずです。たとえば車の駐車場の土地代や通勤手当も削減できるなど。また企業イメージの向上にもつながります。自転車通勤を企業側が受け入れることによって、自身が相当程度にメリットを受ける可能性があります。柏での調査ですが、通勤距離が5km程度という方が、6割程度います。地方だと7割は5km以内です。自転車通勤の可能性のある人が大勢いるのです。また、名古屋市役所では自転車通勤手当を出したところ、自転車通勤ができる人が相当いたため、825人の自転車通勤者が手当を倍増したところ、1769人と人数も倍増しました。

ロンドンは4倍増をめざして自転車通勤をサポート

古倉氏
ロンドンでは自転車通勤を推進するための郊外から中心部へ行くための弾丸自転車道というものを作っていますが、そのほとんどが自転車道ではなく車道上の自転車専用レーンです。沿道の企業とはシャワールームを設けてくださいなど、協定を締結して推進しています。このように、目的をはっきりさせて強力なサポート体制を敷いていくことで、2026年に400%の利用増を目指しています。このように通勤など目的を明確にしたルート設定は単純明快で日本でも見習うべきです。

クルマ来店者の売り上げが大きいか

 

自転車は近隣のお店への買い物にもよく利用されています。
古倉氏
クルマでの来店者は1回当たりの買い物の額は自転車のそれより大きいが、買い物に来る回数はクルマより自転車の方が倍も多く、週の買い物の総額で比較すると、自転車の方が多くなるという結果が自動車王国の宇都宮の調査結果が出ています。したがって、自転車の利用を促進して受け入れていけば、売り上げが伸びるという可能性があるということです。商業者にそのことを聞いてみました。すると自転車促進には賛成の意見が多いものの、自らは行わず、自治体が施策をしてくれれば協力したいという答えも多く、自治体の推進が望まれるところです。
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