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自転車の走行空間を確保するために最もよい方法をお聞かせください。
古倉氏
我が国の具体的な自転車の走行空間については、まず、自転車歩行者道が多くの所で採用されています。歩行者と自転車の通行帯をラインや路面表示で分けたものです。上に看板こそありますが、ほとんどの歩行者も自転車も無視です。次に自転車道も残念ながら評判が悪いです。走りにくいといわれます。これに対して、一番に推薦したいのは自転車レーンです。まず幅が一番少なくて済みます。また、この幅がないところでは、混合空間もあります。警察庁のナビマークは幅40cmです。金沢では1.25mの自転車指導帯というものが設置されています。クルマに対して、ここは自転車も通るんだよということを広報してもらう意味でも重要です。自転車レーンを作るといっても、その空間は少ないのではないかという疑問が多く寄せられますが、空間的には、全国の幹線道路のうちの47.2%に両側に1.5mのレーンを設ける余地があるということが示されています。ではなぜ設けないのかという理由を98モデル地区で聞いたところ、ほとんどが沿道の合意形成がとれないということです。たとえば沿道のラーメン屋さんの前にクルマを停めて食べに来る客が自転車レーンを作ることで停められなくなって、商売あがったりになってしまうというようなクレームがつく。このため、歩道に自転車空間を求める。これは、そもそも自転車の位置づけがはっきりしないために、説得力がないのです。
古倉氏
事故の減少率で一番効果が高いのは自転車レーンで36%と最も高く、安全性は高い。一方で、やはりアキレス腱となるのが、違法駐車を排除できないことです。ところが私がクルマで来た来街者にアンケート調査をしたところ、「あなたは派手な色の自転車レーンがあれば、クルマの駐車を控えるようにするか」と聞いたところ、99.6%の人が「控えたい」と答えています。建前ではないかと思われるところですが、重要なのは匿名で答えていること、またそういう気持ちをもっていないとこういう答えは決してしないということです。つまり違反をしない方がいいなという気持ちをもっているので、広報啓発をされ、注意されることによって、抑制される可能性が高いと思います。これは、「いや、おれは間違っているとは思わない」という人が多い中で駐車を排除しようとするのとでは全然違います。またこういう気持ちをもっているということがわかったということだけでも大事だと思います。あとは行政がどれだけ努力をするかの問題かと思います。
自転車の利用促進をすることで事故が増えるという心配はないでしょうか。
古倉氏
諸外国、たとえばオランダでは自転車の利用はどんどん増えています。1980年に比べて2005年は利用者が45%も増えています。しかし事故は6割減っています。他のヨーロッパ諸国においても利用者が増えるほどに事故率は減っています。日本だけは残念ながら歩道通行をずっとやってきたためか、自転車による死亡事故の数は減っているとはいえ、ヨーロッパに比べると減り方が少ないのが実情です。ですから欧米のように自転車走行空間を車道に求め、かつ自転車利用を促進することで、事故がどんどん減るという可能性が高いということになります。この理由としては、諸外国が公文書で説明をしていますが、行政も車道の安全な自転車走行空間を頑張って優先して作ること、自転車利用者の意識の変化がもたらせること、クルマの運転者の意識も変化することという三拍子がそろうことによって事故をどんどん減らすということができたとしています。
古倉氏
ただ、ルール遵守の態度について違う点は歩道通行と車道通行の差です。日本の場合はずっと歩道通行をしてきました。自転車は歩道では最強者です。つまり裸の王様でルールを守らなくても40年間済んだわけです。ところが車道を彼が走ったとしたら、最弱者に転落してしまう。つまりルールを知って、学習してなおかつ守らないと自分自身の身がもたないということがあります。これが40年間続いてきたということが諸外国との大きな差を生んだと私は認識しています。したがって、行政が自転車利用者を歩道通行により甘やかしてルールを守らない人たちを大量に生み出してきた点が大きいと思います。ルールの取り締まりを前面に出し、自転車利用者に大きなしわ寄せをするのではなくて、その前に、しっかりと広報啓発をして、車道が歩道よりも安全・快適・迅速に走れることをいきわたるようにすること、このために車道にしっかりとした走行環境を作ってルールを守って走らせる、といういわば北風と太陽の話でいうと、太陽をもうちょっと作らないといけないと私は思っています。たとえば車道通行と歩道通行のどちらがルールを守って走るかということを調査したところ、やはり車道通行の方がよく守るという答えが出ています。
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