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長年にわたって続けられてきた自転車の歩道走行ですが、ここにきて、
「自転車は車道」が叫ばれるようになりました。その理由をお聞かせください。
古倉氏
自転車の走行空間については、「安全・快適・迅速」の3つの条件が整わないと、皆さんは走ってくれません。迅速性については、やはり速く走ることができるのは車道ということは皆さんもわかっていただけると思います。快適性については、歩道は段差や占有物件があったりします。車道は自動車の風圧が怖いという点を除けば、快適性は高く、安全性は統計的にも車道の方が高いのです。「安全・快適・迅速」の3つの条件をいずれも備えているのは車道であるということになります。こうしたことを前提に警察庁も大いに理解されておられ、2011年10月に通達を出しました。歩行者の安全を守る等のため、歩道走行を制限し、車道での自転車の走行環境を整備することを前提にして、車道におろすというものです。これは結果として、「安全・快適・迅速」な自転車利用の促進に大きな効果があるのです。ところが国民の中で8万人が答えたアンケートでは反対が圧倒的多数で賛成が少ない。やはり国民的理解にはなっていません。ここに見られるように、車道走行についても誤解が多いのが実情です。
古倉氏
車道と歩道について欧米と日本と比較すると、車道の法的な位置づけなどは日本も欧米もあまり変わりません。ただ違うのは、現実の走行空間が日本では歩道が7割~8割、欧米では歩道での走行はほとんどありません。その理由として、日本においては歩道走行が例外的に認められ、車道の走行が怖いから、歩道に逃げてしまう人が多数いるわけです。しかし、ロンドンでも同じく「なぜあなたは自転車を利用しないのですか」との質問に対して、「怖いから」という理由を日常の自転車利用者であっても挙げています。ただ日本は逃げ込む歩道があるが、欧米では歩道走行が認められていないか、または抑制されているので、逃げずに車道走行をするか、または自転車利用をやめるかしかないというのが大きく異なる点です。日本では、自転車が歩道走行する理由は車道が危なく、歩道は車道より安全だからと皆さん信じ込んでしまっているのです。
日本は道路幅が狭く、自転車が走るスペースがとれないのではないでしょうか。
古倉氏
日本の道路の面積比率は東京23区で15.4%、ロンドンは16.6%、パリ20.0%と、大差ないことがわかります。世界の自転車走行空間の計画延長と専用空間の割合を見ますと、ニューヨーク市は2030年までに約3000km、ポートランド市は同年までに約1500kmと、各都市で数百kmから千km以上あります。一方の日本は東京の区部で100kmほどしかありません。この差は、日本では分離された空間しか計画に入れないからで、欧米の場合、専用の部分と混合の部分を合わせて自転車走行空間としているからです。つまり逆に言うとオランダでもパリでもそうですが、車道上での専用空間はむしろ少なく、残りは共用空間、自転車とクルマが同じ空間を混合して走行するというのが常識です。ニューヨーク、パリともに自転車の専用空間はありますが、その多くは共用空間(自動車の混合空間で以下同じ)となっています。ロンドンは2010年で680km以上の自転車走行空間ができていて、ネットワークが張り巡らされているのですが、その多くが共有で、レーンといっても1mくらいの幅しかないもので、交差点の30mくらい手前にあるだけとか、カーブで危険な個所だけ設けられているといった具合です。ただ、先進諸国のいいところは、「自転車のネットワークがありますよ」「ここは自転車も通りますよ」という標識を車から見える位置に車に対してきちんと掲示し、この道における自転車利用者をサポートしているところです。
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