主張はしか拡大 大型連休前、適切に感染予防を

公明新聞:2018年4月25日(水)付

はしか(麻疹)の感染者が沖縄県を中心に増えている。

多くの人が移動する大型連休を前に、厚生労働省は各都道府県に注意を呼び掛けており、十分に警戒したい。

ウイルス性の感染症であるはしかは感染力が非常に強くマスクや手洗いでは予防が難しい。感染すると約10日後から発熱や咳など風邪に似た症状が数日続き、その後、39度以上の高熱と発疹が現れる。

肺炎や脳炎などの合併症を引き起こす可能性は3割に達し、死に至るケースもある。特に乳幼児は注意が必要だ。妊娠中に感染すると、流産の恐れもある。

国内では予防接種の普及で、土着のウイルス感染がない「排除状態」を2015年に達成した。しかし、訪日客や帰国者がウイルスを持ち込む例が相次いでいる。

今回の感染拡大も、3月中旬に台湾から沖縄県を訪れた男性旅行者が感染源とみられる。同県の患者数は70人に達し、沖縄を訪問した名古屋市の男性や、この男性が受診した医療機関で働く女性らの感染も確認された。

20日には、仙台―台北間を往復する旅客機に搭乗した客室乗務員が感染していたことが明らかになっている。

はしかには特効薬がなく、最大の予防策はワクチン接種だ。2回の接種で確実に免疫ができるが、1990年4月1日以前に生まれた人は2回接種を受けていない可能性があるという。

国立感染症研究所は、定期接種の対象である1歳児と今年度6歳になる幼児に加え、旅行を予定する人や医療・保育・教育関係者、0歳児の家族などに対し、可能な限り早めのワクチン接種を呼び掛けている。

まずは、母子手帳などで予防接種や罹患の記録を確認してほしい。記録が不十分な場合は、かかりつけ医に相談することも必要だ。感染の疑いがある場合は、受診する前に医療機関に連絡することが欠かせない。

厚労省によると、はしかの感染報告は海外でも多く、とりわけアジア、アフリカ諸国の報告が多数に上るという。国は、入国時の水際対策の徹底や外国人にも分かりやすい注意喚起などに、一層取り組む必要があろう。

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