主張中小企業白書  生産性向上の好事例に注目

公明新聞:2018年4月24日(火)付

中小・小規模事業者の生産性をどう高めるか。必要な手だてを考える契機としたい。

政府が閣議決定した2018年版の「中小企業白書」「小規模企業白書」によると、景気の現状に対する印象を示す景況感が改善傾向にあることが分かった。景気回復の波は、大企業から中小・小規模事業者へと広がりつつあることが改めて裏付けられた形だ。

気になるのは、経営の効率化という点で、大企業との格差が広がっていることだ。人手不足も深刻化しているだけに、従業員1人当たりの生産性を高めることは喫緊の課題である。

しかし、白書も指摘するように、「効果が分からない」「コストが負担できない」といった理由で、IT化などの設備投資に二の足を踏む経営者は少なくない。

この点、今回の白書で注目したいのは、昨年の2倍を上回る113もの好事例を取り上げていることだ。いくつか紹介したい。

▽プラスチック製品の製造会社は、設備の稼働状況を収集・分析するIT設備を導入。稼働率が2割上がり、利益率は3.9倍になった。

▽金属鋳造の工場は、危険な大型部品の鋳造工程を担うロボットを導入。生産性が2.3倍上昇した。

▽パンの製造小売会社は、給与・就業管理の事務にインターネット上のサービスを利用。その結果、事務負担が半減した。

▽生花販売店では、店舗内の照明器具一式をLEDに変更。明るさがアップし、来客数が前年比5割増え、売り上げも1割伸びた。

▽従業員6人の建設会社では、商工会による経営者講座をきっかけに、自社をPRするホームページの刷新とチラシの作成・配布を実施。売り上げは250万円増えた。

いずれも白書の中では、設備投資に要した費用や業績の伸びなど、生産性向上につながるまでの経緯が詳しく書かれている。参考にしてほしい。

国や自治体も多彩な支援策を用意している。ただ、経営者の中には「制度を知る機会が少ない」という声もある。

公明党が進める「100万人訪問・調査」運動の対象の一つは中小企業だ。各種支援策を周知する好機としたい。

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