主張復興庁発足6年 比重増す司令塔の責務と役割

公明新聞:2018年2月26日(月)付

東日本大震災からの復興を担う復興庁の発足から丸6年が過ぎた。

東北の被災地では道路や鉄道などインフラの整備・復旧は最終段階を迎えつつあり、被災者向けの災害公営住宅の供給率も9割を超えた。高台移転や区画整理による宅地造成も8割が完了している。

だが、生業の再生やコミュニティーの再構築など、暮らしに直結する分野の復興は遅れ気味だ。原発事故があった福島県を覆う風評も依然として解消されておらず、農水産業の再生や住民帰還の足かせとなっている。

そして何より、仮設住宅や親族・知人宅などで暮らす避難者が今なお、全国47都道府県に7万5206人(1月16日時点、復興庁)を数える。

復興はなお道半ばで、被災者の生活課題はむしろ個別化、多様化し、深刻化していると言わざるを得ない。

言い換えるなら、復興庁の責務と役割はいよいよ増しているということだ。各省庁をリードする復興政策の司令塔として、その存在感をもっと示していく必要がある。

発災直後、野党の立場にありながら、いち早く復興庁と復興担当大臣の必要性を訴え、実現させた政党として、公明党も引き続き同庁を支援、叱咤しながら、復興加速に全力を挙げる覚悟である。

復興庁の設置期限は、法律で2020年度末までとされている。

だが、原発事故に伴う除染や廃炉、住民避難など中長期的な問題を抱える福島県が、20年度末までに復興を完了させるのは事実上不可能だ。

宮城、岩手両県でも今後、災害公営住宅の家賃引き上げや災害援護資金の返済などが本格化すれば、被災世帯は新たな課題に直面することになる。被災者一人一人の命に刻まれた“心の傷”を癒やすのにも、なお長い歳月がかかることだろう。

となれば、期限終了後も同庁の機能を受け継ぐ後継組織の設置は欠かせまい。

その形や規模、位置付けをどうするか。復興政策を切れ目なく続けるために、そしてまた被災地と被災者に希望と安心を届けるためにも、政府は議論を本格化させ、可及的速やかにその道筋を示す必要がある。

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