“観光復活”に挑む 草津町(群馬)

公明新聞:2018年2月23日(金)付

本白根山噴火から1カ月

12人の死傷者を出した草津白根山の本白根山(群馬県草津町など)の噴火から、きょう23日で1カ月を迎えた。当初、噴火口から約5キロ以上離れた草津温泉街では、風評被害で宿泊キャンセルが相次いだものの、徐々に観光客が戻りつつある。一方、噴火口に比較的近い草津国際スキー場の利用客が減少し、早急な対策が求められている。“観光復活”に挑む同町の現状を追った。

温泉街 にぎわい徐々に戻る

情報発信、イベントに注力

群馬県草津町の温泉街の中心にある「湯畑」。噴火後、初の三連休を迎えた今月10日夜、その周辺では、立ち上る湯煙がライトアップされ、寺の階段には約1200本のキャンドルが並んでいた。粉雪も舞う幻想的な雰囲気に、風呂上がりのカップルや親子が寒さを忘れ、カメラやスマートフォンで、写真を撮っていた。

ライトアップされた「湯畑」の前で多くの観光客が足を止めていた先月23日の噴火以降、草津温泉街では観光客の宿泊キャンセルが相次いだ。その数は噴火後の1週間で約8000件、延べ3万人にも及んでいる。事態を重くみた町や観光協会は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やメディアを通じて、“温泉街は噴火口から5キロ以上離れており、被害はない”と訴え、風評被害の払拭に全力を挙げた。さらに、ろうそくをともすキャンドルイベントを催したり、板でお湯をかき回す「湯もみショー」の回数も増やし、PRに努めた。

一方、同町は噴火警戒レベル3(入山規制)が続く本白根山の観測体制を強化。山頂付近のカメラを増設し、より鮮明な映像を確認できる体制を整えた。

こうした取り組みが奏功し、徐々に客足が戻ってきている。草津温泉旅館協同組合の黒岩裕喜男理事長によると「予約の入り具合は例年よりも遅いが、キャンセル数は少なくなっている」と話す。

スキー場 休日の利用客4割減

温泉街に続く観光拠点、草津国際スキー場は、入山規制のエリア内にある「本白根ゲレンデ」を除き、三つのゲレンデで営業を続けている。しかし、利用客は休日でも昨年比で6割以下。平日は3~5割程度とさらに落ち込んでいる。スキー場近くでスキー用具のレンタル業を営む吉田保さん(65)は「ここ数年多かった大学生の利用客が少ない」と語る。

スキー場は観光客にリフト券を値下げするほか、3月4日限定で町民のリフト利用を無料にするなど、落ち込みからの回復を急ぐ。

旅館協同組合の黒岩理事長は「スキー客をメインにしているペンションなどは苦戦している。ゴールデンウイークには、通常に戻したい」と述べていた。

スキー用具のレンタル店で吉田さんから噴火後の様子を聞く金丸町議公明党群馬県本部は、噴火後、福重隆浩代表(県議)を本部長とする災害対策本部を立ち上げ、水野俊雄本部長代行(同)が噴火当日の先月23日に現地へ急行。地元の金丸勝利町議と共に、スキー場の状況を確認するなど、情報収集に当たった。その後も、草津町と国土交通省との連携を促し、風評対策などを後押ししてきた。

金丸町議は「安全・安心の確保に向けて、噴火対策やスキー客の回復へ取り組んでいく」と話していた。

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