主張平昌五輪開幕  主役は選手。健闘をたたえ合おう

公明新聞:2018年2月9日(金)付

図らずも、朝鮮半島の緊張が高まる中での「平和の祭典」となった。しかし、主役はあくまでも選手であり、その健闘と大会の成功を祈りたい。

第23回冬季五輪が、韓国北部のリゾート地・平昌できょう開幕する。

17日間にわたり7競技102種目が行われ、冬季五輪としては史上最多となる92カ国・地域から2925選手が出場する。国際オリンピック委員会(IOC)から特例で参加を認められた北朝鮮は、開会式で韓国との合同入場が予定されている。

世界のトップアスリートが真剣に競い合う姿は、国籍や人種の違いを超えて多くの人に感動をもたらすと同時に、平和の尊さを改めて実感させるに違いない。

まして世界は今、「差別」や「分断」をどう乗り越えるかが共通の課題になっている。五輪憲章に明記された「人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」との一節をかみしめたい。

日本選手団は選手124人、役員145人の269人で構成される。いずれも冬季五輪としては過去最多だ。

日本オリンピック委員会(JOC)は、複数の金メダルを含め9個以上のメダル獲得を目標に掲げている。スピードスケートやフィギュアスケートなど有望種目は多く、選手の活躍が待ち遠しい。鍛錬の成果を、存分に発揮してほしい。

運営面で注目されるのは、世界最高水準の自動通訳・翻訳技術を駆使した言語障壁のない大会をめざしていることだ。技術革新を人と人との結び付きに役立てる視点を評価したい。2年後に東京五輪を控えた日本にとっても参考になろう。

ドーピング問題が大会に影を落としている点は残念でならない。組織的ドーピングで選手団としての参加を禁じられたロシアからは、潔白が証明された選手のみが個人資格で出場する。

言うまでもなく、ドーピングは選手の心身の健康に深刻な影響を与えるものであり、決して許されない。また、不正が見過ごされるようでは五輪の存立基盤が大きく揺らぐ。違反者のいない「クリーンな五輪」への取り組みも、今回の焦点の一つである。

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