主張中小河川の豪雨対策

公明新聞:2017年12月13日(水)付

流木被害の教訓生かし備えを

日本列島は今年、各地で豪雨災害に見舞われた。特徴的なのは、国の直轄河川につながる都道府県管理の中小河川で被害が相次いだことだ。

7月の九州北部豪雨では、福岡県管理の赤谷川で、土砂崩れによって発生した大量の流木が川の流れを変え、流域に甚大な被害をもたらした。

中山間地が国土の7割を占めるわが国にとって、豪雨による流木被害が今後も発生する可能性は高く、対策を急がねばならない。

この点、国土交通省がまとめた緊急治水対策に注目したい。九州北部豪雨を受け、全国の中小河川を緊急点検した結果を踏まえたものだ。

中小河川は全国に2万余りある。このうち豪雨によって大量の土砂や流木が川に流れ込み、住宅や公共施設などに被害が発生する恐れのある場所は、およそ700カ所あることが点検により判明した。このため国交省は緊急対策で、流木や土砂を食い止める効果の高い砂防えん堤などを整備する方針だ。

河川の水が堤防を越えてあふれる「越水」による浸水被害にも備える必要がある。

緊急点検によれば、400河川の計300キロメートル区間で、過去に洪水が発生したにもかかわらず、十分な対策が取られていなかった。また、住宅などが浸水する危険性が高いのに、川に水位計がない場所は5800カ所に上った。

水位計は、1台約1000万円と高価なことが設置を遅らせる原因だった。今回の緊急対策では、洪水時の水位観測に特化した100万円程度の水位計を設置する。

流木、浸水対策はいずれも、各地の豪雨災害の教訓を生かしたものであり評価したい。

対策は今後3年間かけて実施する計画だが、その取り組みの担い手は都道府県となる。円滑な事業推進には、国による財政、技術両面からの後押しが不可欠である。

公明党の井上幹事長は5日、2017年度補正予算を組み、「自治体向けの防災・安全交付金を大幅拡充し、地域が防災対策に取り組めるようにすべきだ」と力説した。政府はしっかり対応してほしい。

国民の命と暮らしを守るため、災害への備えに万全を期すべきであることを重ねて強調しておきたい。

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