主張行政のムダ削減 政策効果高める視点も不可欠

公明新聞:2017年11月18日(土)付

国の事業にムダがないかを有識者が公開で点検する「行政事業レビュー」が始まった。14日から16日までは東京都内で開催され、あす19日には徳島市に会場を移す。計4日間で9府省46事業を対象に存廃や改善点について議論する。

行政事業レビューは、自公政権によって2013年から始まり今年で5回目。とりわけ15年度からは3年連続で、予算の概算要求段階から1000億円以上を削減するという成果を上げてきた。行政のムダ削減に対する政府の努力は評価に値しよう。

旧民主党政権が行った「事業仕分け」は、歳出削減ありきで国会議員らが短時間に事業の存廃を判定した。財源の捻出効果は乏しく、政策の自己否定すらもたらした。

しかし、自公政権が行うレビューは歳出削減だけが目的ではない。事業の改善点などを議論する中で、政策効果を高める視点も重視している。

東京でのレビューでは、政府開発援助(ODA)を使って国際協力機構(JICA)のボランティアに支払われる生活費が論議された。40歳以上は月額で最高1510ドル支給されるのに対し、39歳以下はその半額程度。40歳以上には住居・家族手当も加算される。大きな格差である。

有識者側が、専門性に基づいて手当や生活費の支給基準を細分化するよう求めたのは当然の指摘といえよう。格差を放置していては、ボランティアの意欲を低下させ、十分な政策効果は期待できない。

あす行われる徳島市でのレビューでは、水道事業に民間の資金やノウハウを活用するPFIに関する事業や、農林漁業の人材確保事業などが検証される。住民生活や地域の振興に直結する課題であるだけに、政策効果を見極めるような議論を望みたい。

今回の検証結果は今後、政府の行政改革推進会議で取りまとめられる。有識者の意見に強制力はないものの、18年度予算案の編成で的確に反映させてほしい。

8日に会計検査院が公表した16年度決算の検査報告によると、税金のムダ遣いや不適切な経理処理は874億円に上った。指摘された金額は過去10年で最少だったとはいえ、一層の削減努力が求められることは言うまでもない。

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