脳脊髄液減少症患者の障害年金

公明新聞:2017年9月5日(火)付

実態を反映した認定に
公明や団体の指摘で厚労省 診断事例集を見直し

医師が「肢体」に限らず心身両面で症状を記入

脳脊髄液減少症患者が実態に即して障害年金を受けられるように、厚生労働省は、障害認定に大きな影響を与える医師の診断書の内容などを示す診断事例集を見直し、8月1日から運用を開始した。これまで、事例集での診断書の様式が、必ずしも同症患者に当てはまらない「肢体の障害用」のみだったが、今回、「その他の障害用」が追加された。患者の要望を受け、公明党が後押しした。

同症は、体への強い衝撃によって脳や脊髄を覆う硬膜に穴が開いて髄液が漏れ、頭痛や目まい、倦怠感など多様な症状が現れる病気だが、医師らに十分に理解されているとは言い難い。

このため厚労省は2012年、診断事例集を作成し、障害認定されるケースを等級ごとにまとめ、診断書の様式を示した。しかし、示されたのは「肢体の障害用」のみ。身体と精神の両面に及ぶ同症の症状を主治医が適切に記すのが難しかった。

そこで、厚労省は今回、「その他の障害用」診断書を使って事例集を見直した。これには、日常生活で不自由な点の事例などが詳細に記されている。

事例集の見直しについては、公明党の同症対策プロジェクトチーム(山本博司座長=参院議員)が16年3月と11月、患者団体と厚労省の意見交換の場を設け、団体側が問題点を指摘したことをきっかけに、同省が検討していた。

長年、願ってきた朗報

今回の事例集の見直しについて、認定NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会は評価しており、障害認定手続きなどの支援に携わる同協会の社会保険労務士チームが本紙にコメントを寄せた。

この中では、今回の見直しについて、「画期的。その意味するところは大きい」と高く評価。全身にわたって障がいが起こり得る同症患者にとって「長年、願ってきた朗報」だとして、認定の対象となる患者の拡大に期待を寄せた。その上で、認定に当たる日本年金機構の今後の対応をしっかり見極めていく考えを示した。

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