17年度都予算案 都議会公明党の主張が反映

公明新聞:2017年2月15日(水)付

防災・減災

首都直下地震などへの備えが急がれる中、東京都の2017年度予算案では防災・減災対策が加速します。

「無電柱化」で倒壊なくす

民間の技術開発を後押し 区市町村への補助拡充

都内には、約75万4000本の電柱が立っています(14年3月末時点)。

大地震が起きた場合、電柱が倒壊し、道をふさいでしまう恐れもあり、人命救助や消防活動に支障を来すことが危惧されています。また、空にクモの巣のように張り巡らされた電線は街の景観を損ねており、歩道上にある電柱が車いすやベビーカーなどの通行の妨げになっているケースも見受けられます。

こうした課題を解消するのが、電線を地中に埋めて電柱をなくす「無電柱化」です。都は17年度予算案に251億円を計上し、無電柱化対策を進めます。

まず、17年度から都道(全約2200キロメートル)で、電線の新設を禁止します。

また、生活道路である区市町村道には都内の電柱の9割以上があるため、区市町村への補助を拡充し、対策を促します。

具体的には、整備費用の一部を都が負担する従来の補助制度に加え、推進計画を策定したり、低コストが期待できる手法を導入する区市町村に対する新たな補助制度をスタートさせます。

現在、日本では地下に共同溝を設け、その中にケーブルを通す方式が主流です。しかし、1キロメートル当たり約3.5億円と、高額な整備費用が自治体に重くのしかかります。これに対し、例えば、ケーブルを地中に直接埋設する方式なら、約0.8億円まで費用を抑えられるとされ、注目されています。

このほか、都は、整備費用のさらなる低減や工事期間の短縮をめざし、民間の技術開発を後押しするとしています。

16年12月には、街の無電柱化をめざす無電柱化推進法が公明党の推進によって議員立法で成立しました。同法を踏まえ、都は、無電柱化を計画的に進めていく方策などを盛り込んだ条例の制定に取り組みます。

無電柱化は、公明党が東日本大震災の教訓から命を守る「防災・減災ニューディール」を掲げ、党を挙げて取り組んできたものです。都議会公明党としても、17年度予算編成に際し、強く要望していました。

災害への強さ 実証済み

日本は世界有数の地震大国でありながら、“無電柱化後進国”と言っても過言ではありません。

無電柱化率は、全国で整備が最も進む東京23区でもわずか7%です。一方、ロンドンやパリ、香港などには電柱がありません。

こうした中、阪神・淡路大震災では約8100本、東日本大震災では約5万6000本の電柱(通信と電力)が、倒壊などの被害を受けました。その影響により、電柱に架かる電線などのケーブル線(架空線)も、断線被害が相次ぎました。

しかし、阪神・淡路大震災において、地中化された通信ケーブル線の被害率は0.03%と、架空線(2.4%)の80分の1にとどまり、無電柱化が災害に強いことが改めて実証されました。

また、東日本大震災でも、津波エリアでの地中化された通信ケーブルの被害率が、架空線に比べて25分の1で済みました。

女性目線で防災ブック

避難所運営のリーダー育成

都の防災対策が女性の目線でさらに充実します。

災害に対する備えや発災時の対処法などをまとめた防災ブック「東京防災」が15年に都内全世帯に配布され、好評を博しました。今回、都民の自助、共助意識をさらに高めるため、女性ならではのきめ細かな目線で防災のノウハウをまとめた「女性版東京防災」を作成します。女性が着替えや授乳をしづらい避難所での対応策などが盛り込まれる予定です。

また、東日本大震災や熊本地震などでは、避難所運営で女性や子どもへの配慮が後回しにされ、課題となりました。そこで避難所運営の意思決定の場に、より多くの女性が参画できるよう、女性の防災リーダーの育成にも力を入れます。

既に、都の災害対策全般を話し合う都防災会議には13年から女性委員が登用されていますが、これは都議会公明党の提案が実現したものです。

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