主張成人年齢の引き下げ 悪質商法による被害を防げ  

公明新聞:2017年1月17日(火)付

経験や知識の乏しさにつけ込んだ消費者被害から若者を守る手立てを急ぎたい。

成人年齢を現在の20歳から18歳に引き下げる民法改正案が、20日召集の通常国会にも提出される見通しだ。これに関連して、内閣府の消費者委員会は10日、18~22歳を「若年成人」と位置付け、悪質な契約の取り消しを可能とする規定を消費者契約法に盛り込むなどして、若年成人を保護することが必要であるとする報告書をまとめた。

未成年であれば、民法の「未成年者取消権」で、親などの同意を得ずに結んだ契約を後から取り消せる。しかし、成人年齢を引き下げた場合、18、19歳の若者がこの法律上の保護から外れることになる。これに伴い消費者契約の被害が拡大するであろうことは想像に難くなく、報告書の指摘を踏まえ、対策を検討すべきだ。

実際、成人になるタイミングを見極めた悪質商法が横行している。国民生活センターによると、2015年度の消費者トラブルの相談件数は、20~22歳の各年齢の平均が8935件で、18~19歳の1.55倍に上る。平均消費額も18歳で16万円、19歳で21万円だが、20~22歳は39万円とほぼ倍増しており、成人直後が被害に遭いやすい傾向にあることが分かる。

具体的な相談事例としては、投資用教材の購入、就活支援塾への勧誘、タレントやモデルのスカウト詐欺などに関するものが挙げられている。「お金がないから」と言って断っても、「借金すればよい」と説得され、消費者金融の無人契約機で数百万円を借り、代金を支払うケースも多いというから問題は深刻である。

報告書では、若年成人を狙った悪質な業者を行政処分の対象とする規定を特定商取引法に盛り込むよう求めているが、契約を取り消せるようにするのと併せて、必要な措置だろう。

法相の諮問機関である法制審議会は09年に、成人年齢を「18歳に引き下げるのが適当」であると答申した一方で、その前提を「消費者被害の問題を解決する施策が整備され、十分に効果を発揮し、国民の意識として表れること」と指摘した。若年成人をいかに保護すべきか、国会で議論を進めてほしい。

 

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