主張男女の格差 日本の“当たり前”を見直すべき

公明新聞:2016年10月28日(金)付

世界中で女性の活躍が進んでいる。日本も取り組みをより加速させるべきだ。

世界の政財界首脳が集まるダボス会議を主催する「世界経済フォーラム」が26日に発表した報告書によると、日本は男女平等に関して144カ国中111位だった。前年よりも順位を下げ、主要7カ国(G7)で最下位だった。

報告書は、政治、経済、教育、健康の4分野のデータを基に各国の男女格差を比較している。日本は、教育と健康で比較的高い評価を得たものの、女性の国会議員や経営者が少ないことなどが影響し、政治と経済で順位を下げた。

では、日本で男女格差が広がったのかというと、そうは言い切れない。むしろ年々、数値は改善傾向にあり、今回の報告書では、同じ業務をした際の男女の賃金差が縮まったと指摘されている。要は、日本よりも他国が急ピッチで男女格差を埋めたため、相対的に順位が下がったのだ。

とはいえ、世界に後れを取っているのは事実。職場での男女差別を禁じた男女雇用機会均等法の施行から30年がたった今も、妊娠・出産と仕事を両立できる環境が整っていないなど、女性の活躍を妨げる壁がある。

まずは、2020年までに、指導的地位に占める女性の割合を30%に広げるという政府目標の達成をめざしたい。自公政権が進める「1億総活躍社会」の実現にも、男女の格差是正は不可欠だ。

一方、報告書のデータに表れない案件もある。例えば、結婚すると夫婦で姓(名字)を統一しなければならない夫婦同姓の問題だ。制度上は、夫と妻が話し合って姓を決めるが、実際には96%(12年)が夫の姓を選んでいる。

この中には、仕方なく夫の姓を選択した人も少なくないだろう。女性が不利益を被る現状は見直すべきだ。国連の女子差別撤廃委員会も日本の夫婦同姓を差別的だとして、是正を求めている。

公明党は、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を選ぶことを認める「選択的夫婦別姓制度」を提唱している。世界各国では標準的な制度だ。

女性が輝く社会の実現には、こうした日本独特の“当たり前”を見直すことも必要である。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読