主張大規模停電 再発防止と万一への備え同時に

公明新聞:2016年10月25日(火)付

国民生活を守るため、電力の安定供給へ、不断の努力を続けてほしい。

東京都内で発生した大規模停電を受け、政府と東京電力は現在、再発防止へ対策を急いでいる。

経済産業省は先週、特別チームの初会合を開き、11月にも当面の対策を取りまとめる方針を示した。各電力会社も、停電の原因とされる老朽ケーブルの緊急点検に乗り出した。19日の衆院経産委員会で公明党の高木美智代さんが「二度と起きることがないよう対応すべき」と求めたように、事態の深刻さを重く受け止めた対策が急務である。

まずは、一刻も早く事故の原因を究明すべきであり、都民をはじめ影響を受けた人たちへの丁寧な説明が求められよう。

今回の事故は、埼玉県内にある送電線のケーブルを通す地下の施設で火災が発生し、延べ約58万6000世帯が一時停電したものだ。

報道によると、停電の原因は地下ケーブルの老朽化が有力視されている。火災を起こしたケーブルは、耐用年数が25年とされる中で、設置後35年以上も使われていたというのだから、信じがたい。

東京電力管内には同型のケーブルが716キロ敷設されており、その半分近くが35年を超える。老朽化が進んだケーブルは全国各地でも使われていることから、同様の事故が今後も起きる可能性がある。電力各社は新しいケーブルへの交換を計画的に進めているというが、更新の前倒しなどを検討すべきではないか。

政府は、これまで年1回の目視で済ませていた検査方法について、感熱センサーの設置による監視体制の強化などを検討している。この種の事故の影響の大きさを考えれば、事故の原因の本格究明を待たずとも、打てる対策を果断に講じていくという姿勢を今後も貫くべきである。

今回の停電は発生から1時間程度で復旧した。緊急時のバックアップ機能が正常に働いたようだが、電力各社には、改めて万一の事態への備えを再確認するよう求めたい。

また、自治体庁舎をはじめ公共施設や病院など自家発電装置がある施設では、機器への整備・点検に努めるべきは言うまでもない。

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