年金改定ルール見直し

公明新聞:2016年10月22日(土)付

現役世代の給付減防ぐ
賃金が物価以上に下落する時は賃金に合わせて支給
現状では減額なし “カット法案”は誤り

公明党の厚生労働部会(部会長=桝屋敬悟衆院議員)、年金制度委員会(委員長=山本香苗参院議員)は21日、衆院第2議員会館で合同会議を開き、年金額改定ルールの見直しなどが盛り込まれた国民年金法改正案について厚労省と議論した。桝屋氏は、法案は年金の持続可能性を高めるものだとして、野党の“年金カット法案”との批判は当たらないと力説。厚労省は改正の狙いなどを、大要次のように説明した。

【見直しの内容】年金額は物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年改定される。しかし、過去にリーマン・ショックなどで賃金が顕著に下がった際、それに見合った年金額に下げなかったため、(将来の給付を“先食い”する形で)現在の年金水準が高くなっている。このままでは現役世代が将来受け取る年金額が下がってしまう。それを防ぐため、「物価の下落以上に賃金が下がる」「物価は上がっても賃金が下がる」という場合には、賃金に合わせて年金額を定める仕組みに改めることとした。

賃金が下がるような事態を繰り返さぬよう、政府は経済再生に取り組み、実際に賃金は上昇している。新ルールは、あくまでも将来世代の年金給付を守るため、物価以上に賃金が下がるような事態に備えておくものだ。直ちに年金が減るわけではない。

【民進党の試算】民進党は、過去10年間のデータに新ルールを当てはめると年金が5.2%減るとの独自試算を示した。厚労省も同党の求めに応じ、一定の仮定の下で機械的に試算したところ、今の年金水準が3%(基礎年金で1人当たり月2000円)下がるという結果となった。

この差は、民進党の試算が、2021年に新ルールが始まる前の17年で終了している毎年の厚生年金保険料アップ(可処分所得の減少)を織り込んでいるため生まれるもので、過小推計ではない。一方、厚労省試算では、将来の水準は7%程度(同5000円)上昇する結果となっており、新ルールで将来の給付が確保されることも示された。

ちなみに(賃金変動に合わせた年金額の変動を徹底する新ルールを批判する)民進党の前身・民主党の年金制度改革案も、年金改定ルールについて、賃金の連動を基本として(おり、賃金が下がった際には、年金額も下がるとして)いる。

【低所得者対策】仮に、下落する賃金に年金額を合わせる新ルールが適用されるような状況になったとしても、年金受給者の暮らしへの影響が最小限となるよう、新ルールは、低所得・低年金の方に最大月5000円を支給する福祉的給付を19年10月にスタートさせた後に実施する。

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