“貧困の連鎖”防ぐ ひとり親 就労を支援

公明新聞:2016年1月16日(土)付

「最大3年」に給付金延長 資格取得 後押し
経済的な支援とともに拡充

政府の2015年度補正予算案、16年度予算案には、ひとり親家庭への支援策として、児童扶養手当の拡充などの経済的支援のほか、親の就業を応援する施策が手厚く盛り込まれた。

5年間働けば返還免除

ひとり親家庭の就業状況今回、補正予算案で創設する「高等職業訓練促進資金貸付金」は、ひとり親家庭の親が看護師などの資格取得で学校へ通う場合に入学準備金を50万円、就職準備金を20万円貸与する。卒業後に資格を生かして1年以内に就職し、同じ地域で5年以上その職で働き続けるなどの条件を満たせば返還免除もある。既存の「高等職業訓練促進給付金」(月額10万円、住民税課税世帯7万500円=在学中の生活費相当、返還不要)については、16年度予算案で支給期間を従来の最大2年間から最大3年間に延長。看護師など3年間の通学が必要な資格を最後まで支援することが可能になる。

対象資格も看護師、保育士など「2年以上修学する資格」としていたが、「1年以上」にし、調理師や製菓衛生師などに対象が拡充する。さらに母子父子寡婦福祉資金貸付金(月額6万8000円=授業料相当)は、有利子枠の利子を年率1.5%から1%に引き下げた。

一方、ひとり親家庭の就労相談機能も強化される。ハローワークが自治体と連携し、ひとり親家庭へのチラシ配布や自治体の庁舎内などに臨時窓口の設置を進める。また、専門相談員を置き、保育サービス情報などの提供も一体的に行う。

東京都ひとり親家庭支援センター「はあと飯田橋」の女性相談員は、今回の新たな支援策について、「資格取得の希望が多いのは圧倒的に看護師だ。給付金の支給期間が3年間に延びることはありがたい。入学時にはお金が掛かるので貸付金で助かる人も多いと思う」と語っている。

就業率高く、収入低い

厚生労働省の調査(13年)によると、ひとり親家庭は約146.1万世帯(母子家庭123.8万世帯、父子家庭22.3万世帯)ある。就業率【表参照】は母子で80.6%、父子で91.3%。年間就労収入は母子で平均181万円、父子で平均360万円で、母子・父子家庭ともに一般家庭に比べ就業率が高い半面、育児との両立のために非正規雇用となるケースが多く、収入はおしなべて低い。

日本の子どもの貧困率(平均的な所得の半分以下の所得で暮らす18歳未満の子どもの割合)は16.3%(12年)と先進国で明らかに高い。さらに、ひとり親家庭に限ると54.6%と跳ね上がる。

こうした状況から公明党は、保護者の経済格差が子どもの教育・進学にも影響を及ぼす「貧困の連鎖」を断ち切るために、国会質問や政府への提言で親の就労状況の改善策を訴えてきた。

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