主張潜在看護師 復職へ研修の充実を検討せよ

公明新聞:2015年10月6日(火)付

医療現場で再び活躍できる機会に挑戦してもらえないだろうか。

看護師などの免許を持ちながらも、結婚や出産を機に離職した「潜在看護師」らに、氏名や連絡先の届け出を求める制度が10月から始まった。

届け出制度の対象は、看護師のほか、准看護師、保健師、助産師の有資格者のうち、現在、看護職に就いていない人。専用のインターネットシステムを通して「都道府県ナースセンター」に届け出をすると、復職に向けた無料の職場紹介や相談員によるアドバイスなどが受けられる仕組みだ。この制度をしっかりPRし、一人でも多くの人に届け出てもらって、再就職につながることを期待したい。

厚生労働省によれば、看護師など潜在看護職員の数は約71万人に上ると推計されている。こうした潜在看護職員で、看護職として再就職を望む人は約4割を占めるという調査がある。子育てなどが一段落すれば、復職したいと考える人は少なくないのだ。

看護職の不足は深刻化しており、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、現在より40万人多い約200万人の人材が必要になる見込みだ。潜在看護師らの復職を積極的に後押ししていかなければ人材確保は容易でない。

これまでにも都道府県ナースセンターでは、都道府県からの委託を受けて、最新の看護の知識・技術を学べる研修会を開催している。離職期間が長い人ほど、職場の変化に対応できるか不安を覚える人も多く、復職をためらう理由になっているからだ。

都道府県は、消費税の増収分を財源にした「地域医療介護総合確保基金」を活用し、多くの潜在看護師らが利用できるよう研修内容の充実を検討してほしい。

一方、潜在看護師らにとって復職を希望しても家事・育児との両立が容易でない場合が珍しくない。働きやすい環境づくりを進めなければ、復職に二の足を踏みかねない。

フルタイム勤務よりも働く時間が短い「短時間常勤」制度や、夜勤を免除する働き方を認めて、人材を確保している医療機関もある。多様で柔軟な勤務スタイルや、院内保育所の整備などを推進していくことも欠かせない。

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