変わる難病対策 《上》

公明新聞:2015年8月13日(木)付

佐藤茂樹厚労副大臣(公明党、当時)に医療費助成の実現などを要望する永松代表らと、党難病対策推進本部長の江田康幸衆院議員=2014年3月 厚労省佐藤茂樹厚労副大臣(公明党、当時=左端)に医療費助成の実現などを要望する永松代表(右側手前)らと、党難病対策推進本部長の江田康幸衆院議員(左から2人目)=2014年3月 厚労省

306疾病に拡大
負担軽減で「助かった」
協議会の設置など地方議員の役割重要

公明党の推進で制定された難病医療法に基づく難病対策の新制度が今年1月から始まり、7月には医療費助成対象の指定難病は306疾病に拡大した。適用範囲の広がりは、重い医療費負担を強いられてきた患者にとって一筋の光ともなっている。その上で、子どもの難病も含めて今後、さらに対策が強化されようとしている。新制度の現状と今後の展望を探った。

地域格差解消へ 医療機関の情報共有早く


「発症前は本当に普通の生活だったんです」。首都圏在住のA子さんの娘・B美さんは3年前、高校生の時に突然、再発性多発軟骨炎(RP)を発症した。RPは、全身の軟骨組織に痛みを伴う炎症が繰り返し起きる疾病で、死に至ることもある。原因は不明。根本的な治療法もない。国内患者数は約500人と推定され、認知度も低い。

B美さんは、まず耳軟骨が腫れ、夜も眠れないほどの痛みに襲われた。しかし、近所の医療機関では対応できず、大学病院に行くなどして病名が判明。だが、治療しても炎症は治まらず、複数の薬を投与してようやく症状を抑えることができた。しかし、医療費助成対象の難病ではなかったため、昨年の医療費は50万円を超えた。

状況が変化したのは今年1月。新制度が施行され、助成対象の疾病が従来の56から110に拡大。HTLV―1関連脊髄症(HAM)や遠位型ミオパチーなどと共にRPも指定難病となった。世帯の所得や患者の症状に応じて医療費の上限が定められ、B美さんの医療費は月2万円に。A子さんは「とても楽になり、本当に助かっています」と語る。

難病対策は以前、法律の裏付けがない予算事業だった。一方、新制度では、難病医療法に基づく公平で安定的な医療費助成制度を確立。指定難病は7月に196疾病が追加され、合計306疾病まで広がった。また「難病は誰でもなる可能性がある」との考えのもと、患者が尊厳を持って生きられる共生社会の実現などが理念に掲げられた。

難病医療法には、医療提供体制の整備や治療に関する調査研究、就労支援の推進なども盛り込まれている。これらについては、9月下旬に告示予定の基本方針に基づき、具体的な対策が進められることになる。

希少疾患の患者が現在、強く望んでいることがある。全国の医療機関などが連携する難病医療支援ネットワークの構築だ。「難病は、地方に行くほど医師の情報量も少ない。患者が安心して適切な治療を早く受けられるように、情報の共有化を進めてほしい」とRP患者会の永松勝利代表は訴える。

また、医療費の支給認定や、就労をはじめ患者の生活環境整備などを都道府県が担うことから「法律はできたが、それを生かすのは各地域。地方議員が患者と協力し、都道府県などの努力義務になっている難病対策地域協議会の設置を進めてほしい」と強調。さらに永松代表は一言、こう付け加える。「それができるのは、地域に根差す公明党しかない」

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