主張仕事と介護の両立 使いやすい休業制度に改善を

公明新聞:2014年11月24日(月)付

厚生労働省は先週、育児・介護休業法のうち介護休業の規定を見直す検討を始めた。有識者研究会で議論し、来年夏ごろまでに報告書をまとめる。

研究会の初会合では、家族の介護をしながら働く人や、介護のために離職した経験を持つ30歳以上の男女を対象に実態調査をすることを決めた。企業の支援制度の導入・利用状況も調べる。公明党は数年前に全国規模で介護総点検運動を実施したが、介護は先行きの見通しがつきにくい上に、個別の状況はさまざまであることが分かった。実情をきめ細かく把握し、制度の改善に反映してもらいたい。

同法は、介護が必要な家族1人に対し、通算93日までの介護休業を利用者に保障している。しかし、在宅介護する場合、介護や通院の付き添いのために仕事を休める介護休暇(年5日)を加えても、この日数で十分だろうか。

家族を介護するために仕事を辞める人は急増している。厚労省の調査によると、2013年の介護離職者は前年比41%増の9万3000人に上る。離職を防ぐためにも支援制度の改善は欠かせない。

介護休業や介護休暇の取得率は極めて低い。ある調査では、長期的な休業よりも有給休暇や、半日・時間単位などの休暇制度を利用して介護の時間を確保しているケースが多いという結果が出ている。利用しやすい制度へと見直す必要があるのではないか。休業に伴う社員の収入減少も、取得率低迷の要因の一つと指摘されている。介護休業給付金の増額も検討すべきだ。

一方、仕事と介護の両立には、会社の理解と支援が不可欠である。要介護の家族を抱える世代は、働き盛りの40~50代が中心だ。経験豊富な人材を失うことは企業にとっても痛手だろう。企業側も積極的に社員の家族の状況に目配りし、適切な支援策を進める必要がある。

公明党の推進で制定された育児・介護休業法は、仕事と家庭を両立しやすい環境づくりに大きく貢献してきた。今後、老親の介護をする社員がさらに増えていくと予想されている今、同法の持つ意義はこれまで以上に大きい。

官民一体で支援策の充実に取り組んでもらいたい。

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