主張ガザ侵攻 犠牲者の大半は罪なき市民

公明新聞:2014年7月29日(火)付

無条件停戦の即時受け入れを

繰り返される暴力の連鎖に一刻も早く終止符を打たなければならない。

8日から始まったイスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの軍事行動による死者が1000人を超えたという。これまでもイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスは、一時的な停戦には何度か応じているが、ハマスによるロケット弾攻撃は停戦期間中も続き、イスラエルが反撃する形となっている。双方の自制と歩み寄りを強く求めたい。

紛争の発端となったのは、ユダヤ人とパレスチナ人の少年が、それぞれ殺害された事件だった。イスラエルは、ユダヤ人少年殺害をハマスの犯行と断定し、空爆を繰り返した後、17日に地上侵攻を開始。イスラエルがガザに大規模な地上侵攻をするのは2009年以来で、ここから死傷者の数が急激に増加する事態となった。地上作戦は、ハマスがイスラエルを攻撃するために、同国との境に造った地下トンネルの破壊が目的といわれている。

トンネルは住宅や病院、学校などの施設の地下にもあり、イスラエルの攻撃対象には、こうした民間施設も含まれる。一方で、ハマス側は、イスラエルの攻撃をけん制するため、“人間の盾”として攻撃対象の施設に民間人を滞在させていると伝えられる。

民間人の犠牲をいとわぬ両者の対応は、到底許されるものではなく、国際社会の非難は強い。

本格的な停戦に向けては、軍事力に勝るイスラエルの対応が状況を左右すると見られている。このため、イスラエルに対する影響力を持つ米国のオバマ大統領は27日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談し、ガザでの戦闘について、双方が条件を付けずに即時停戦する必要があると訴えた。

また、国連や欧米諸国は、停戦提案の口火を切ったエジプトだけでなく、ハマスへの影響力を持つトルコやカタールと協力して働き掛けを強めている。

さらに、国連安全保障理事会は28日、ガザ情勢で緊急の会合を開き、イスラエルとパレスチナ双方に即時無条件の「人道停戦」を受け入れるよう訴える全会一致の議長声明を発表した。これまで、ガザ住民の避難や食料品搬入など人道的観点から一時停戦がなされてきたことを踏まえたものだ。

双方とも、国際社会の懸念を真摯に受け止め、これ以上の流血拡大を防ぐ停戦に向けた対話の一歩を踏み出すべきである。

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