主張大企業の賃上げ 中小への波及最大のヤマ場

公明新聞:2014年4月19日(土)付

経営不安取り除き「好循環」実現を

政府・与党がめざす「経済の好循環」実現に向け、確かな一歩を踏み出したと言っていいだろう。

経団連が16日発表した大手企業の2014年春闘妥結状況(第1回集計)では、定期昇給を含めた組合員平均(回答41社)の月例賃金の引き上げ額は7697円となり、前年を大きく上回った。賃上げ額が7000円を超えるのは実に16年ぶりだ。

公明党の強い主張で設置された政府と経済界、労働界の代表者による政労使会議が果たした役割は大きい。大企業の賃上げの流れを中小企業にも波及させ、経済の好循環の動きを本格的なものにしていきたい。

経済の好循環は、賃上げによって個人消費を拡大させ、それが企業の収益増につながることで実現する。

中小企業は、日本の企業の99%以上を占め、従業員数の割合は全体の約7割に及ぶ。日本経済の屋台骨である中小企業の従業員の賃上げなくして、経済の好循環実現はあり得ない。

中小企業の春闘は、これからが本番を迎える。大企業の業績好転によって、仕事の受注件数が増える中小企業は少なくないだろう。好循環に向けた次の一手となる中小企業の賃上げを、ぜひ進めてもらいたい。

ただ、今月からの消費税増税の影響もあって、中小企業の経営は楽観できない。政府は中小企業の先行き不安を払拭し、経営環境の改善を後押しすべきである。今年度の税制改正では、一定の賃上げを実施した企業の法人税を減額する所得拡大促進税制を拡充した。政府は、こうした制度を周知徹底し、積極的な活用を促してほしい。

非正規労働者も賃上げの問題と無縁ではない。今や労働者の4割弱が非正規雇用である。賃金も含めた待遇改善がなければ、消費を手控えざるを得なくなり、景気のプラスにはならない。

景気回復に伴う人手不足から、非正規労働者を正社員や無期雇用にするなど、待遇改善に取り組む企業も出始めている。大いに歓迎したい。この動きがさらに広がるよう、政府は政策で支えてほしい。

今回の賃上げを、一過性に終わらせてはならない。中小企業も含め、今後の賃上げの状況をフォローアップして、来年以降に生かしていくことが大切だ。

継続的な賃上げが定着してこそ、好循環の動きは力強さを増す。それが実現しなければ、デフレ脱却に向けた道筋は見えてこない。

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