主張実効性持った機能強化を

公明新聞:2013年4月20日(土)付

研究開発の実情踏まえた制度に

科学技術の司令塔

日本経済の再生に向け、自公政権が進めている成長・イノベーション(技術革新)戦略。その鍵となるのが科学技術である。

資源に乏しく、少子高齢化が進む日本では、優れた人材や研究・技術を生かして、産業や社会構造を変えるイノベーションを推進しなければ、産業競争力の強化は望めない。そのためには、研究開発と行政の両分野が一体となった推進体制が不可欠である。

公明党科学技術委員会は、科学技術イノベーションの推進体制の抜本強化をめざし、菅官房長官と山本科学技術政策担当相に、科学技術政策の司令塔機能の強化を提言するなど取り組みを進めてきた。

政府は17日の産業競争力会議で、国家的課題に重点的に予算を配分する権限を総合科学技術会議に持たせて司令塔機能を強化することや、府省横断型の研究開発プログラムの創設などを指示。6月の成長・イノベーション戦略の策定に向け、本格的な議論が始まった。

しかし、総合科学技術会議を改組するだけで十分だろうか。

実効性のある司令塔機能とするためには、改組される同会議の事務局の強化や、調査分析などを担う専門家でつくるシンクタンクの創設なども必要である。現在の同事務局スタッフの人数は韓国よりも少ない。政策の立案から執行までの全てのプロセスを見通した体制の強化を図らなければ、画餅となってしまう。規制改革会議など政府の他の司令塔との連携も重要である。

また、国の内外から優れた人材を集め、積極的に登用していく体制や若手研究者を育成する場の創出なども求められる。

現行の制度が研究開発現場の実情に合っていないことも見逃してはならない。研究開発現場には、人材登用や予算の投資などの見通しを立てにくい現状がある。例えば、研究開発法人では、予算の使い方などに制限があり、状況に合わせた配分が難しい。

現在、予算の繰り越しは5年程度まで認められているが、期間をさらに延長したり、人件費の柔軟な配分などを可能にすれば、研究開発の加速が期待できる。

これらの課題解消については、2008年に制定された研究開発力強化法にも施行後3年以内に検討することが付帯されている。見直しは喫緊の課題だ。

世界の研究開発競争は激しい。日本の科学技術の競争力を高めるために、迅速に取り組んでもらいたい。

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