主張若者は企業の将来担う力

公明新聞:2013年4月2日(火)付

社員教育や技能アップ策の充実を

新社会人の応援

新年度を迎え、多くの企業・団体で入社式が行われた。新社会人は慣れない経験に戸惑いもあるだろう。上司・先輩の信頼を得ながら、職場に新鮮な活力を吹き込んでもらいたい。

近年、厳しい雇用情勢を乗り越え就職できても、入社数年で辞めてしまう若者が少なくない。厚生労働省によれば、大学卒業後、3年以内に離職する人の割合は28.8%にも上る。

離職の理由には、「仕事が合わない」「労働条件が悪い」などのミスマッチ(ずれ)の影響が大きい。

若者の“考えの甘さ”や“努力不足”を嘆く声がよく聞かれるが、それだけではなかろう。生き残りをかけた過当競争の中で、企業側が徹底した成果主義を導入したり、新人を育てる余裕を失っている傾向も離職を生む一因となっていることは間違いない。

早期に離職した人は、なかなか正社員に就けず、雇用の不安定化につながっている。育成に多くの労力を費やした企業にとっても損失だ。

入社した若者を企業の貴重な戦力に育てる取り組みを一段と強化する必要がある。

社員教育やスキルアップ(技能の向上)、社内コミュニケーションを充実させるなどの知恵を絞り、離職率を低下させている企業もある。社会全体としても、定着率を高める取り組みを後押ししたい。

例えば、国会で審議されている2013年度予算案には、若者の採用・育成に積極的な地域の中小企業を「若者応援企業」として位置付ける事業が盛り込まれている。

若者応援企業は、新卒者の離職率などの情報を明示し、一定基準の社員教育を設ける必要があるが、位置付けられれば企業イメージが向上したり、専用の就職説明会に参加できる利点がある。こうした企業が増えれば、ミスマッチの防止や職場への定着が進むと期待される。

一方、新社会人にも“受け身”の姿勢ではなく、前向きに仕事の達成感や魅力を見つける努力が必要だ。

企業の多くでは、より高い資格や技術を身につけるキャリア研修を設けており、意欲的に臨んでもらいたい。たとえ職場への不安や不満があっても相談できるように、職場内での人間関係づくりも大切だ。

若者は社会の大事な担い手である。若者の育成は、日本にとっても企業にとっても“未来への投資”ともいえる。若者世代が安心して働ける環境づくりに、社会を挙げて取り組んでいきたい。

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