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公明新聞:2013年4月1日(月)付

理化学研究所の研究センターを視察し、iPS細胞を使った臨床研究について説明を聞く党プロジェクトチーム=3月15日 神戸市理化学研究所の研究センターを視察し、iPS細胞を使った臨床研究について説明を聞く党プロジェクトチーム=3月15日 神戸市

今国会で成立する見通しとなった、再生医療の実用化を後押しする再生医療推進法案と、教育支出の増額方針を盛り込んだ中央教育審議会(中教審)の答申素案について、ポイント解説します。

再生医療法案が成立へ
坂口力・元厚労相の私案をもとに法案を作成し、公明党が一貫してリード。再生医療実用化を後押し

Q 再生医療推進法案が今国会で成立する見通しだが、公明党の取り組みは?

A iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使う再生医療を迅速かつ安全に推進する再生医療推進法案は、公明党の坂口力・元副代表(元厚生労働相)の私案をもとに作られた法案です。

昨年秋から自民、公明、民主の3党の有志で議論を重ね、議員立法として作成。3月19日の衆院厚労委員会に委員長提案で提出され、同22日の衆院本会議で全会一致で可決されました。現在、参議院で審議中です。

Q 法案の内容は?

A 最先端の再生医療を日本国民が世界に先駆けて安全に利用できるように、研究開発や普及の促進に関する基本理念を定めるとともに、国や医師など関係者の責務を明記。その上で、国に対しては再生医療を推進する基本方針の策定を義務付けたほか、(1)先進的な研究開発への助成などの支援(2)臨床研究や治験環境の整備(3)専門的知識を有する人材の確保と養成―などを行うように規定されています。また、再生医療の特殊性も踏まえ、生命倫理上の配慮も求めています。

Q 再生医療の実用化への動きは?

A 独立行政法人・理化学研究所(理研)と先端医療振興財団が今年2月、目の難病である「加齢黄斑変性」の臨床研究を厚労省に申請しました。これを受け、厚労省の審査委員会は3月27日から審査を開始。了承されれば、iPS細胞を使った世界初の再生医療が実施されます。

ただ、厚労省の審査に少なくとも数カ月、医療行為までの準備に少なくとも10カ月の時間が必要で、実際に再生医療が実施されるのは2014年度中になりそうです。

Q 治療までの時間を短縮する方法は?

A iPS細胞の作製に成功しノーベル賞を受賞した山中伸弥・京都大学教授は、公明党の会合で「さい帯血を、iPS細胞という違う形で患者のために使わせてもらいたい」と訴えていました。

患者本人からiPS細胞をつくるには半年程度かかりますが、さい帯血を利用して、あらかじめ再生医療用のiPS細胞をつくっておけば、迅速な治療につながります。公明党は、この実現にも全力で取り組みます。

GDPに対する教育支出の割合教育支出を1.5倍に
主要国より少ない日本の教育支出をOECD平均並みに。公明党は幼児教育無償化などをめざします

Q 2013年度からの5年間の教育方針となる教育振興基本計画について、中央教育審議会(中教審=文部科学相の諮問機関)の部会がまとめた答申素案の内容は?

A 大きなポイントは、国と地方自治体が教育機関に対して行う財政支出について「経済協力開発機構(OECD)諸国並みの支出をめざす」と、事実上の数値目標が明記されたことです。

昨年9月に発表されたOECDの調査結果によれば、各加盟国の国内総生産(GDP)に対する公的な教育支出の割合は、OECD諸国の平均が5.4%なのに対し、わが国は3.6%にとどまっており、平均を大きく下回っているのが現状です(表参照=数値はいずれも09年度)。

今回の目標は、この教育支出の割合を現状の1.5倍程度に引き上げようとするものです。

Q 具体的には、どのくらい増えるのか?

A わが国の教育支出の総額は、09年度で16兆8000億円。これを単純計算で1.5倍にすると、教育支出の総額は25兆2000億円となり、現状から新たに8兆4000億円程度を増額することになります。

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