主張復興加速提言 目に見える形で進めよ

公明新聞:2013年3月8日(金)付

現場主義に徹し課題の解決を

「震災三年目の冬を希望持って迎えるために」―。6日、自民、公明の与党両党が政府に提出した緊急提言はこう題された。

ここには、公明党の国会議員や地元議員が徹底して現場に入ってくみ取った要望に何としてでも応え、復興を加速させてみせるとの強い意志がこもっている。

振り返れば、大震災後に最初に迎えた冬は、民主党政権の稚拙な対応で遅れた復興関連予算が執行され始めた段階だった。

そして、いま明けようとしている二年目の冬は、応急復旧が終わり、ようやく本格復興に向けたまちづくりに一歩を踏み出したところといえよう。

政府は、今後の見通しをきちんと示し、被災者が街の将来像と重ねて、自らの住宅、生活再建を進めていけるようにしなければならない。

約8カ月後の三度目の冬の到来を見据えれば、これ以上の遅滞は一切許されないとの覚悟で進めてもらいたい。

そのためには、復興が進む過程で生じる用地の取得での権利問題やマンパワー不足、資材の不足・高騰など、被災地特有の課題に迅速に対応することが欠かせない。なぜなら、現場主義に徹した対応なくして、現実のまちづくりが目に見える形で進むことはないからだ。

特に、集団移転や住宅の再建には、土地の整理が必要であるが、そこには複雑な権利関係が絡んでいる。その上、所有者が不明なままの土地も数多い。埋蔵文化財調査の必要に迫られることもある。これらの課題を平時と同じに対応していれば、隘路にはまってしまうことは目に見えている。

そこで、提言は、これらの事情を踏まえた柔軟な対処や手続きの簡素化、調査の迅速化などを求めている。

その上で、「法改正を視野に入れつつ」と踏み込んで、制度の大胆な活用を強調している。

人材、資材不足も深刻だ。あらゆる政策を動員して、この不足を埋めていかない限り、計画があっても現実の復興は加速しない。

さらに、福島の再生には、除染から中間貯蔵施設の整備などを一体とした総合的な工程を明らかにするとともに、帰還困難区域の将来像をしっかりと指し示す必要がある。

政府には、この提言の思いをしっかりと受け止めてもらい、あくまで現場を起点に、さまざまな課題をあらゆる政策の活用で乗り越え、復興を加速させる取り組みを求めたい。

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