主張実感できる景気回復を

公明新聞:2013年3月5日(火)付

規制緩和、民間投資の誘導など 「成長戦略」の実行急げ

政府経済見通し

自公連立政権による積極的な経済対策の効果が、実体経済に波及しつつある。

金融、財政、成長戦略による3本の矢が、株価回復と円安を加速させている点が大きい。特に、日本経済の主力である自動車、電機などの輸出産業で、円安効果の「追い風」を受けた業績見通しの上方修正が相次いでいる。

民間企業経済の持ち直しは、景気全体の先行きにも明るい材料だ。事実、政府が示した2013年度の経済見通しも、この点を反映した内容になった。

注目すべきは、長引くデフレで国内総生産(GDP)の名目成長率が実質成長率を下回る「名実逆転」が、16年ぶりに解消されると予想した点だ。物価変動を除く実質で2.5%、景気実感に比較的近い名目で2.7%とした。

このほか金融緩和とインフレターゲット(物価目標)導入の効果が期待される消費者物価の上昇率は0.5%と、5年ぶりのプラス転換を予想した。

今こそ、景気回復への期待感を、国民が実感できる回復へと確実に転換させなければならない。

政府経済見通しは、補正予算と13年度予算案の波及効果を織り込んだ上での試算でもある。その意味で重要なのが、10兆円規模の緊急経済対策を柱とする12年度補正予算を早期に執行することだ。

東日本大震災で被害を受けた住宅の再建事業を加速させ、自治体が管理する社会インフラの総点検や補修・更新などを進める「防災・安全交付金」を、各地元が使い勝手の良い形で活用できるようにすることが不可欠だ。13年度予算案の速やかな成立も急務である。

一方で、経済成長の妨げとなる懸念材料にも注視が必要だ。政府の経済財政諮問会議は、13年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字額が33.9兆円に達すると警鐘を鳴らす。また、迷走する米国の財政問題が世界に与える悪影響も見逃せない。

だからこそ、自律的な経済成長を促し、国債などの借金に頼らずに、法人税などの財政収入を増加させる成長戦略が必要だ。例えば、難病治療への応用などで注目される再生医療の国内市場は、2050年には推計で3.8兆円規模へと成長する有望産業だ。

政府は、こうした将来の日本経済を支える成長分野に民間投資を誘導しつつ、大胆な規制緩和で新たな技術革新(イノベーション)を促す政策を実行すべきである。

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