主張北朝鮮が核実験 国際社会への重大な挑戦

公明新聞:2013年2月13日(水)付

昨年のミサイル発射に続き アジアの安全保障揺るがす

12日、北朝鮮が地下核実験を強行した。核なき世界を求める国際世論を無視する暴挙であり、強く抗議したい。

今月10日は北朝鮮の核保有宣言から満8年で、核実験はこれで3回目。昨年12月のミサイル発射実験とともに、東アジアでの北朝鮮の脅威はさらに深刻さを増している。

北朝鮮と同様、国際社会から核開発疑惑が指弾されてきたイランでは、10日、アフマディネジャド大統領が、米国などによる経済制裁が解除されれば、核開発をめぐる米国との直接交渉に応じる用意があることを表明。これに先立つ8日、ケリー米国務長官は「軍事攻撃も辞さない」と強硬姿勢を明らかにしていた。

今回の核実験は、中東での核開発の動きへの歯止めに期待感が広がった矢先の強行であり、核廃絶をめざす国際世論の願いを踏みにじるものである。

北朝鮮に対して、中止を迫っていた中国を無視した核実験の強行は、瀬戸際政策を続行する北朝鮮が孤立覚悟であることを示すものだ。もはや、北朝鮮にとって、核開発の中止は想定外であり、“核保有国”として存在感を誇示し、外交交渉に臨む意思を明確にしたものといえよう。

北朝鮮が核開発を続けた場合、アジアの安全保障は激変する。「アジア回帰」を明確にしている米国だが、北朝鮮が米本土まで到達するミサイルを開発し、核弾頭の改良などに突き進めば、重大な脅威となる。日本や韓国との連携をさらに強化して北朝鮮を抑え込まなければならない。その動向によって、太平洋への進出を図る中国と、あつれきを生じる恐れもある。

さらに、今回の暴挙によって、核軍縮をめざして米国が主導してきた核拡散防止条約(NPT)体制が大きく揺らぐことは否定できない。

NPT体制は、米国、ロシア、英国、フランス、中国という核保有国が核軍縮に努め、世界各国の核開発を防ぐとともに、原子力の平和利用に対しては協力を惜しまない仕組みになっている。

しかし、インドやパキスタンが核実験を行い、イスラエルも核保有が指摘されるなど、NPT体制にほころびが目立っている。核軍縮は進まず、期待された原子力の平和利用は日本の原発事故で暗雲が漂っている。核拡散を阻止するため、今回の北朝鮮の暴挙に対して、国際社会は厳しく対処しなければならない。

北朝鮮の暴走を止めるために、関係各国には強い結束と断固たる措置が求められている。

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