主張緊急地震速報 「より速い」発信に工夫を

公明新聞:2013年2月7日(木)付

防災教育など ソフト面の充実も欠かせない

地震による強い揺れを事前に知らせる緊急地震速報は、いまや防災に欠かせないインフラとなっている。

気象庁が昨年12月に公表した調査では、77.3%の人が同速報がどんな情報かを知っていると答えるなど、広く浸透している。また、同速報が「役に立っている」との回答も65.4%に上っている。

実際、速報を見聞きして「何かしら行動した」という人は71.6%に上り、国民に“役立つ”と受け止められているといえる。

同速報は2007年10月1日の一般への提供開始から5年以上が経過した。一般提供には「情報の混乱を招く」「前例がない」などの意見もあったが、公明党の推進や冬柴鉄三国土交通相(当時、故人)の決断で早期実施された。同庁の調査を見る限り、一定の成果を挙げているといえよう。

同速報は、気象庁が主に地表に設けた全国約230カ所の地震計と、防災科学技術研究所の高感度地震観測網(約850カ所)を使って最大震度5弱以上の揺れを対象に速報を出している。

しかし、今後30年以内に約70%の確率で発生すると予測される首都直下地震などでは、地表の付近で観測した情報だけでは、速報が間に合わない可能性もある。

このため気象庁は、防災科研が関東などの地下500~3500メートルに設置している大深度地震計(約30カ所)や、独立行政法人・海洋研究開発機構が海底1900~4300メートルに観測点(20地点)を置く地震・津波観測監視システムの情報を加えて活用することによって、速報性を向上させようと取り組んでいる。

同庁は地震波をより震源に近い位置で捉えることで、速報をより早く発することができると見込む。そのスピードは従来よりも1秒程度早くなるという。

同庁は現在、実証試験に取り組んでおり、「今年中のなるべく早い時期の運用開始」をめざしている。早期実施を期待したい。

ただ、命を守る防災対策は速報の強化だけでは十分ではない。気象庁の調査でも、同速報を受けた際に取るべき行動を「あらかじめ決めている」と答えた人の割合は12.5%にとどまり、67.8%が「意識しているが、具体的には決めていない」と回答した。

いざという時にどのような行動をするのか、事前に何を準備しておくのかといったソフト面の対策は欠かせない。今後も公明党は防災教育などソフト面の充実にも全力を注いでいきたい。

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