主張米中新時代 両国とも中間層を重視

公明新聞:2012年11月16日(金)付

問われる日本の選択 「相互利益」探る取り組みを

オバマ米大統領の再選に続いて、昨日、中国では、習近平総書記が誕生した。米中両大国の内政、外交の新たな展開が注目されている。

米大統領選では、富裕層増税が大きな焦点になった。オバマ大統領は年収25万ドル(約2000万円)を超える富裕層への減税を打ち切り、中間所得層向けの減税は継続する方針を表明。共和党のロムニー氏は、富裕層を含めた減税を維持し、雇用拡大や景気回復を図るべきだと訴えた。

両者は選挙戦で鋭く対立したが、米国再生へ中間層を重視したことは共通している。

一方、中国も中間層の「育成」に乗り出した。党大会では、中所得者層を拡大し2020年までに国内総生産(GDP)と国民1人当たりの所得を10年の2倍にする方針を発表した。格差是正が重要な課題であることも米国と変わらない。

新たな政治体制で米中両大国の関係はどうなるのだろうか。大統領選で民主、共和両陣営は、中国に対して厳しい姿勢を競い合ったが、中国による米国債の保有残高は世界一であり、米国財政の“持続”には中国の協力が不可欠だ。米国にとって中国は巨大な市場であり、対中直接投資も増加を続けている。選挙が終われば、中国と現実的な対話が始まるのはいつものことである。

また、中国にとっても、米国は重要な輸出市場であり、米国や日本の消費によって、中国経済の躍進があったことは動かしがたい事実である。

米国、中国とも、国内の格差問題や貧困解消、中間層の育成など、統治をめぐる共通の課題に直面している。豊かさの実現のために、両大国がともに互いを必要としており、「ウインウイン」(相互利益、共存共栄)の関係を模索していることは間違いない。

米中が新時代を迎える今、わが国は日米関係を深化させるとともに、日中関係の改善に着手する必要がある。

日中の貿易額(輸出入額の合計)は日米貿易のそれをしのぎ、日本の対世界貿易の2割以上を占めるに至っている。日中両国こそ、「ウインウイン」が国益にかない、戦略的互恵関係にあることを再確認するべきである。

民主党政権の対中外交の失敗は、アジアの平和と安定にとって、大きな打撃となった。公明党は、民衆レベルの交流を重視し、今後とも一貫して日中両国の関係強化に取り組んでいきたい。両国の政治家は長期的な視点で、日中関係の深化に取り組まなければならない。

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