主張緊急経済対策 小粒で力不足は明らか

公明新聞:2012年10月30日(火)付

民主党政権に本格対策は不可能

日本経済の後退傾向が顕著になる中で本格的な景気対策の実行が求められているが、民主党政権には既にその力が残っていないようだ。

政府が26日に閣議決定した緊急経済対策では、国の財政支出が4000億円程度にとどまった。景気の浮揚効果は期待できず、力不足は明らかだ。経済対策になっていないと言わざるを得ない。

案の定、翌27日付の新聞各紙には「突貫のミニ経済対策」(読売)、「『小粒』効果限定的」(毎日)などと手厳しい見出しが躍り、「量・質ともに力強さを欠いた」(日経)、「何のための経済対策かがよくわからない」(朝日)といった痛烈な批判が相次いだ。今回の対策が単なるパフォーマンスだとすれば、民主党政権はますます国民から愛想を尽かされるだけだろう。

経済対策が小規模になったのは、国会審議が必要な補正予算を避け、政府だけで決定できる予備費などを財源としたからである。いかにも姑息なやり方だ。

今回の対策には東日本大震災で被災した中小企業の復旧・復興を支援する、いわゆる「グループ補助金」(801億円)や、福島県内への企業誘致を促す「企業立地補助金」(402億円)が盛り込まれたが、両補助金の増額は公明党が7月から再三にわたって政府に求めてきたものだ。予備費でやるなら、もっと早く決めるべきだった。

景気・経済を力強く底上げするのが目的であれば、しっかりとした補正予算を組まなければならない。民主党政権は11月中に第2弾の経済対策を策定するとしているが、あえて臨時国会に間に合わないようにしているのか。国会審議を恐れて補正予算を先送りするようでは、政府・与党の責任放棄である。

本格的な景気対策は、もはや「レームダック(死に体)状態」の民主党政権には不可能だろう。

また、今回の対策では地方自治体の負担も1700億円程度になるという。予算の執行抑制で地方交付税の支給を延期していながら、自治体に新たな財政支出を求める対応は支離滅裂ではないか。

そもそも、赤字国債の発行に必要な特例公債法案が未成立のままでの経済対策の実行は、国の財源の枯渇を早めることにもなりかねない。民主党政権は何よりもまず、特例公債法案を成立させる環境を整えなければならない。

これ以上、無責任な対応は許されない。国民生活を守るためにも、野田首相は年内総選挙を決断すべきである。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読