カネミ油症救済法が成立

公明新聞:2012年8月30日(木)付

被害者に年24万円支給
公明推進の議員立法 患者認定基準も見直し
参院本会議

カネミ油症救済策のポイント1968年に西日本一帯で起きた大規模な食品公害「カネミ油症」の被害者に対して1人当たり年間24万円を支給するなどの救済策を講じる「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」が29日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。

カネミ油症被害者の公的救済が立法化されるのは初めて。超党派の議員連盟(坂口力会長=公明党副代表)が議員立法として法案を提出していた。

同法に基づき、国は健康実態調査を当面、毎年実施し、調査を受けた患者に支援金を1人当たり年19万円支給する。

また、国は原因企業のカネミ倉庫(北九州市)から将来にわたる安定的な医療費が支払われるよう、必要な措置を講じ、経営を支援する。さらに、同社に保管を委託している政府備蓄米の量を拡大することで委託料収入を増やすなどして、同社からの一時金年5万円程度の支給を確保する。

一方、家族内で認定結果が分かれている事例があり、患者らから「本来認定されるべき者が認定されていない」との声があるため、患者認定のための診断基準を見直し、認定患者の拡大を図る。また窓口負担が不要となる油症患者受療券が利用可能な医療機関を拡大する。

同油症は、カネミ倉庫製の米ぬか油に、脱臭工程の熱媒体として用いられた猛毒のダイオキシン類であるPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)などが混入して起きた食品公害事件。被害者には吹き出物、色素沈着、目やになどの皮膚症状のほか、全身のけん怠感、しびれ感、食欲不振などの症状が現れ、今も多くの被害者が苦しんでいる。

公明党はこれまで、患者救済策の確立を一貫して推進してきた。当初、PCB(ポリ塩化ビフェニール)が主原因とされていたが、坂口厚生労働相(当時)が大臣として初めて、ダイオキシンが主原因であることを認め、診断基準の見直しを明言。これを機に、長年苦しんできた被害者に油症認定の門戸が広がった。その後も公明党は、患者団体やカネミ倉庫との意見交換などを重ね、患者の人道的救済に取り組んできた。

「これ以上の決着点ない」
油症医療恒久救済対策協議会 矢野忠義会長

現実にここまで被害者救済が進み、大変にありがたい。「これで油症という肩の重荷を下ろすことができる」「老後の落ち着いた生活が取り戻せる」と被害者の多くの方は喜んでいます。これ以上の決着点はありません。

この法律により、国の健康実態調査に協力した患者に対し支援金が支給されることになりました。被害者の中には内容について今一歩という意見もありますが、上を見れば限りがありません。

油症患者の公的支援の実現に向け、私は人生の大半をこの問題にささげてきました。私の油症44年を振り返ってみて、もし公明党がいなかったら、この問題は解決できずに途中で消えていたでしょう。神崎武法元代表、坂口力副代表、木庭健太郎参院幹事長ら公明党のこれまでのご尽力に心より感謝しています。

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