主張バリアフリー対策 災害弱者守る整備を急げ

公明新聞:2012年8月22日(水)付

避難路のスロープ化など 避難態勢の見直しも必要

公明党は、高齢者や障がい者など誰もが暮らしやすい街づくりを進めるため、段差の解消や点字ブロックの設置といった「バリアフリー化」を強力に推進してきた。

国土交通省の最新調査によると、バリアフリー化の達成率は昨年3月末現在、鉄道駅(1日平均利用客数3000人以上)で78%、バスターミナル(同)で83%、空港ターミナル(同)で92%に上る。

着実に進みつつあるバリアフリー化の流れを、さらに加速させていきたい。

その一方で今、東日本大震災の教訓を踏まえ、災害弱者の命を守るためのバリアフリー化が急がれている。

国交省は今月、新バリアフリー法施行(2006年)後の課題などを議論してきた有識者検討会の報告書を公表した。そこでは、災害時や緊急時に備えたバリアフリー化の必要性が明示された。

実際、東日本大震災では多くの高齢者や障がい者などが逃げ遅れ、津波の犠牲になった。安全な高台への道が急勾配であったケースも多く、高齢者や障がい者が避難する上で大きな障害となったに違いない。

仮に、車いすでも逃げられるなど避難路がバリアフリー化されていたならば、助かった命もあったのではないか。

また、避難所などで、体が不自由な高齢者や障がい者がトイレや風呂の利用に苦労したり、視覚障がい者などが情報を十分に得られず、孤立してしまうといった問題が相次いだことも記憶に新しい。

国交省は08年、自治体のバリアフリー基本構想の作成を支援する手引書を策定していたが、そこには災害に関する言及はなく、“盲点”となっていたことが否めない。

そこで国交省は、こうした災害に備えたバリアフリー化の検討を今年度中に行い、同手引書に反映しようと準備を進めている。実りある議論を期待したい。

既に高知県四万十市など一部の自治体では、緊急時の避難路に手すりを付けたり、スロープ化するなど避難態勢の見直しに乗り出している。これらも参考となろう。

避難所の問題でも、バリアフリー化された施設などで高齢者らを受け入れる「福祉避難所」を指定している市町村は、昨年3月末時点で全体の41.8%(厚生労働省調査)でしかない。こうした福祉避難所の整備も急ぎたい。

公明党は、地域の実情に応じたチェックを行う「防災・減災総点検」の実施を提唱しており、今後も災害弱者を守る対策に全力を挙げる決意だ。

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