主張原爆の日 核兵器禁止条約めざせ

公明新聞:2012年8月6日(月)付

世界に「非人道性」の訴え広げよ

きょう6日は広島、9日は長崎が67回目の「原爆の日」を迎える。

「被爆70年までに核のない世界を見たい」という被爆者の声に動かされ、世界は今、核廃絶への努力を進めている。特に、2010年に開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議の最終文書で決められた行動計画の実現が重要である。

行動計画には、NPTが核保有国に課している核軍縮への交渉義務について、15年に開催される次回再検討会議で完全履行に向けた手順を検討すること、また、中東地域の非核化会議を今年中に開催することなど、核廃絶への着実なステップが示されている。

日本は唯一の被爆国として、行動計画と核廃絶の実現へ強力なリーダーシップを発揮しなければならない。

核廃絶には、被爆者が一貫して発信してきた「核兵器は人道上許されない」とする思想を国際法の規範として確立する必要がある。核兵器を安全保障の問題として政治的に扱う限り、自衛のための核使用の是非をめぐって前に進めなくなるからだ。

事実、国際司法裁判所が1996年に示した核違法勧告でも、核兵器を国際法違反と言いながら、自衛については「合法か違法かの判断はできない」と述べるに留まった。

しかし、核兵器を人道上の理由だけで廃絶すべきとの考え方は確実に広がっている。

先の行動計画の中でも、核兵器の「いかなる使用も壊滅的な人道的結果をもたらす」と明記され、また、再検討会議として初めて、核兵器禁止条約についても言及した。この核兵器禁止条約は、核兵器の使用だけでなく保有まで禁止する条約であり、「核兵器は非人道的兵器」との理念を国際法規範とし、核を道徳的に追い詰める条約である。

また、昨年11月には国際赤十字・赤新月運動代表者会議が核兵器の非人道性を理由とする核廃絶決議を採択。さらに今年5月に開催された次回再検討会議の第1回準備委員会でも、オーストリアなど16カ国が「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」を発表し、直接の犠牲者だけでなく世代を超えて苦しみを与え続ける核兵器の魔性を訴えた。

こうした動きが広がりつつある背景には、被爆者が長年、悲痛な思いで語り継いできた被爆体験がある。

公明党は被爆者の意思を受け、2020年までの核兵器禁止条約の実現を訴えている。市民団体とも連帯し、さらに運動を進めていく決意である。

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