主張自治体災害協定 3.11教訓に強化、拡充を

公明新聞:2012年5月25日(金)付

指揮系統から情報交換まで 具体的で実効性ある提携に

災害時に自治体間で互いに助け合うことを取り決める「相互応援協定」の意義が、東日本大震災を機にあらためて注目されている。

既存の協定の内容について見直しを進めるだけでなく、新たに協定を結ぶ自治体も少なくない。三つ以上の市町村が提携し合うという、より広域的な取り組みも見られる。

この動きを大切にし、災害列島全域に自治体同士の“横の連携による支援網”を深く広く張り巡らせていきたい。

相互応援協定の締結は、1995年の阪神・淡路大震災を契機に進んだ。消防庁によると、2010年4月1日現在、協定を締結している市町村数は1750団体のうち1571団体に上り、都道府県レベルでも30件を数える。

大半の自治体が既に締結済みというわけだが、東日本大震災を経験した今、全国で約1割の自治体が未締結であることの方が気に掛かる。3.11を踏まえ、一つでも多くの自治体が協定締結に取り組むことを期待したい。

無論、協定は形式的に結べば済むというものではない。

東日本大震災では、被災自治体の多くが締結先の自治体から物資や人員の提供を受けるなど、相互応援協定の有効性が浮き彫りになった。だが、その一方で、協定の内容が抽象的過ぎたり、日ごろからの交流が希薄だったりしたために効果的に機能しなかった事例も少なからずあった。

この経験に学び、これから新たに協定を結ぶ自治体も、既に協定を結んでいる自治体も、中身をよく精査して、より実効性ある協定とすることが重要だ。指揮系統から情報連絡のあり方に至るまで、一つ一つの項目を具体的に定めておく必要がある。共同防災訓練の実施など、いざという時に備えた日ごろの交流に関わる項目も盛り込みたい。

提携先の自治体を遠隔地にも求め、複数の市町村で重層的に支援し合う体制を築くことも大切だろう。近隣自治体同士だけの協定では、共に被災するため、広域災害には対応できないからだ。大地震や大津波だけにとどまらず、豪雪や集中豪雨にも当てはまる3.11の大きな教訓である。

相互応援協定の広がりは、「防災減災国家・日本」の建設を下支えすることになる。公明党が主張しているハード政策としての「防災・減災ニューディール」を推進する上でも欠かせない災害ソフト対策の柱と言っても過言でない。

全国に広がる議員ネット力を生かして、“わが故郷”にふさわしい協定の締結・見直しに、公明党は全力を注ぐ。

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