主張造血幹細胞移植法

公明新聞:2012年5月21日(月)付

今国会での法制化めざせ

血液疾患により良い治療を提供へ

白血病などの治療に有効な造血幹細胞移植を安定的に行うための法案を、公明党や自民党などの超党派議員が今国会への提出をめざし、調整を進めている。

造血幹細胞移植は体内で正常な血液を作ることが困難な白血病などの患者に、骨髄、末梢血幹細胞、さい帯血を移植し、疾病の根治をめざす治療法で、血液疾患の治療成績向上に大きく貢献している。

移植に用いられる造血幹細胞は骨髄、末梢血、さい帯血から採取され、現在は骨髄バンクが骨髄や末梢血幹細胞のあっせん事業を行い、さい帯血バンクが採取した、さい帯血の保存などを担っている。

わが国の造血幹細胞移植の普及率は世界トップクラスだが、骨髄バンクや、さい帯血バンクの事業をはじめ、造血幹細胞移植自体に法的根拠がなく、国の財政支援も弱いためにバンクの不安定な事業運営などが課題となっている。

そこで、移植に必要な造血幹細胞の適切な確保や移植の適正な実施、骨髄・さい帯血バンクの安定的な運営を図るため、基本理念や国の責務などを明らかにし、骨髄、末梢血幹細胞、さい帯血移植それぞれの特徴を踏まえた法整備が必要だ。関係団体も法整備に賛成しており、何よりも患者により良い治療の提供が可能となる。

一方、2012年度の診療報酬改定で今年4月から、血液疾患の治療に有効な造血幹細胞移植に関わる保険点数がそれぞれ引き上げられた。

なかでも、公明党が一貫して主張してきた、さい帯血移植に対する保険点数が大幅に引き上げられ、さい帯血移植は4万4300点から2万2150点(1点=10円)の大幅加算となり、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と同じ6万6450点になった。

これによって、さい帯血バンクの経営の安定に期待が高まっている。バンク事業の安定が、さい帯血の採取の確保や適正な保存につながり、患者にとっても朗報だ。

なお、保険点数の引き上げによる、さい帯血移植の患者負担は変わらない。

移植にかかる医療費は3月末まで44万3000円だったが、4月から22万1500円増えることになり、66万4500円となったが、いずれも高額療養費制度による自己負担限度額を超えており、限度額以上は支払う必要がないためだ。

白血病などの血液疾患の治療体制の強化は「命にかかわる問題」である。政治の責務として今国会での法制化を急ぐべきだ。

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