被ばく医療体制が拡充へ

公明新聞:2012年4月8日(日)付

原発事故を受け防災指針の見直し案発表
公明の主張盛り込む

東京電力福島第1原発事故を受け、原子力安全委員会は3月22日、公明党が主張してきた緊急被ばく医療体制の強化などを盛り込んだ原子力施設の防災指針の見直し案を発表した。

防災指針は、原子力発電所など周辺の防災活動をより円滑に実施できるように技術的、専門的な事項を取りまとめたもの。原発事故の経験を踏まえた防災対策を早期に講じる必要があることなどから、見直された。

特に、今回の見直しによって、放射線に被ばくした人に対し、内部被ばくの診療や放射性物質の精密分析など高度で専門的な医療を行う「三次被ばく医療機関」が増える見通しになった。

三次被ばく医療機関に指定されているのは現在、放射線医学総合研究所(千葉市)と広島大学の2機関のみ。原発事故発生当初、福島県では、県立医科大学で被ばく者などを受け入れていたが、同大学は二次被ばく医療機関のため、内部被ばくを精密に測る設備や人手の不足から十分な医療が行えなかった。

こうした教訓を踏まえ公明党は、秋野公造参院議員が昨年4月6日の参院災害対策特別委員会などで緊急被ばく医療体制の強化を訴えるとともに、党としても同28日、政府に緊急提言を行い、三次被ばく医療機関の増設などを求めてきた。

これを受けて、原子力安全委員会の被ばく医療分科会は、国内の原子力施設からの搬送距離などを考慮して、三次被ばく医療機関の対応地域を細分化するなど、より迅速な処置がとれる体制の検討を提言。これが防災指針の見直し案に盛り込まれた。

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