要旨
井上幹事長の衆院代表質問
公明新聞:2010年2月3日付
公明党の井上義久幹事長は2日、衆院本会議で、鳩山由紀夫首相の施政方針演説などに対し代表質問を行った。要旨は次の通り。
「人道の先進国」日本へ
福祉・教育・平和を基盤に
施政方針演説で総理は、マハトマ・ガンジー師の「7つの社会的大罪」に言及されました。
ガンジー師が「7つの社会的大罪」の中で指摘しているように、われわれ政治家は、「理念なき政治」に陥ることがないよう、心しなければなりません。
同時に私が総理に申し上げたいのは、理念が単なる抽象論にとどまることなく、社会の現実に向き合い、具体的な方向性を明示しなければならない、ということです。
昨年末、わが党は山口代表を先頭に新たな出発をいたしました。その際、日本が進むべき方向を「新しい福祉・教育・平和をつくる公明党 『人道の先進国』日本へ」と題する新ビジョンとして発表しました。
日本が進むべき方向をひと言で言えば、それは「人道の先進国」であります。人道とは、いつ、いかなる状況にあっても人間としての尊厳を守り抜くことであり、人道こそ政治の究極の目標と言っても過言ではありません。そして福祉・教育・平和こそが、人道の基盤となるものであります。
少子高齢化と人口減少の同時進行という厳しい現実の中にあっても、福祉と教育を充実させることによって、国民一人一人の自己実現を可能にし、人生の満足度や幸福度を高めていく。「日本に生まれて本当によかった」と国民お一人お一人に言っていただける国にしなければなりません。
外交においては、「人間の安全保障」に立脚し、核兵器をはじめ貧困や飢餓、環境破壊など人類に対するあらゆる脅威と闘い、平和を創造することに貢献していくべきです。
戦後、日本は欧米に追い付き、追い抜こうと経済先進国の道をひた走ってきました。当然それは必要なことだったとは思います。しかし、これからは、「人道」という点において、世界のモデルとなり、国際社会の中で名誉ある地位をめざすべきであります。「人道の先進国」こそ、総理が言われる「いのちを守る政治」が具体的な形として結実した国の姿ではないでしょうか。総理の見解を伺います。
2010年、新しい10年が始まりました。
国の内外を見渡せば、地球環境をめぐる問題、人口減少・少子高齢社会の本格的な到来、そして貧困や格差の問題など、私たちが生きている、この時をどうするかという課題は山積しております。それと同様に、あるいはそれ以上に、10年後20年後、さらにはもっとその先を見据えて、今、政治が何を決断し、実行しなければならないのか。限られた資源・財産を最大限に活用しつつ、未来を担う子どもたちやこれから生まれる子どもたちに、平和で豊かな安心の日本を、そして地球をバトンタッチしていけるかどうかが問われています。
総理は、「いのちを守る」と繰り返し言われました。確かに重要な視点であります。しかし、問題は具体的な中身です。
私たち公明党は、国民生活を守るため、この困難な時代にあって、日本が進路を誤ることなく正しい選択と実行がなされるよう、国民の目線に立ちながら、その責務を果たしていく決意です。
経済の認識と構造変革
仕組み変える3つの視点
日本経済は、「デフレ」という大きな試練を迎えています。しかし、政府からは、具体的な対策が聞こえてきません。「デフレ対策なしのデフレ宣言」だけでは、国民生活は守れません。
私は、デフレ克服が至上命題であり、そのためには財政と金融、すなわち政府と日銀が緊密に連携しながら、大胆に政策を打っていくべきだと考えます。
総理。デフレ克服に向けた処方せんを示してください。
さて、今後の日本の経済社会構造をどうしていくのか。私は、先の予算委員会で、ひとつの整理として、次の3つの視点が重要である旨を申し上げました。1つは「格差の是正」、2つは「パイの拡大」、3つは「国のカタチを変えること」であります。
<第1の視点「格差の是正」>
第1の「格差の是正」ですが、端的に言えば、日本の富をどのように配分するかという視点であります。
私は、行き過ぎた市場原理主義的な経済運営とグローバル化の進展が、結果として、格差の拡大を生んでしまったことを率直に反省しつつ、今後は、財政、税制あるいは社会保障を通じた所得再配分機能の強化、第2の生活セーフティーネットの構築が不可欠であると考えます。
そこで、具体的に総理に伺います。貧困問題の解消に向けた、政府の具体的な取り組みを明らかにしていただきたい。
格差の是正に関して、公明党は、いわゆる「給付つき税額控除」を導入すべきだと考えます。総理も同じ認識だと存じますが、では、具体的にどのような仕組みで、いつから導入する決意をお持ちでしょうか。併せて、導入に当たっては「番号制度」の整備が不可欠になります。制度の基本的考え方、およびその導入に向けた進め方について、答弁を求めます。
また、再分配機能を強化するには、所得税の最高税率の引き上げや、資産課税の強化を行うべきだと考えますが、総理の認識を確認いたします。
<第2の視点「パイの拡大」>
次に、第2の視点である「パイの拡大」についてであります。
人口減少社会にあっても、豊かさを維持していかなければなりません。政府は、日本としての明確な戦略を打ち立て、経済のパイを増やす、すなわち、どう持続的な成長を確保するかについて、“将来のすがた”を明らかにし、かつ、常にそれを念頭に置いて、経済財政運営に努めるべきです。その際、世界経済の変化、なかんずく、中国など新興国の台頭も踏まえ、アジア全体を市場と見て、アジアの中の日本という視点を持つことも重要です。
しかし、残念ながら、鳩山内閣が「新・成長戦略」の基本方針なるものをまとめたのは、予算編成が終わった後の12月30日。「時間的余裕がなかった」と言い訳されますが、それ自体、重要性の認識が不足していると言わざるを得ません。
国民は、そして世界は、日本がどこに向かおうとしているのか注目しています。政権発足から5カ月にならんとする今に至っても具体策が示されない、メッセージを世界に発信できないのは、大きな損失です。かつての政権における経済政策がどうのこうのと、あげつらっている時間があるなら、もっと早く取りまとめることに精力を注ぐべきです。総理の認識を伺います。
<第3の視点「国のカタチを変える」>
3つは、「国のカタチを変える」という点であります。
私は、国と地方の役割を根本から見直し、国民生活により近い施策では、できる限り地方に委ね、国の役割を最低限にしていく、という基本的な方向性に沿い、日本の統治の仕組みも抜本から改めていくための議論が欠かせないのではないかと考えます。
公明党は、「地域主権型道州制」を最終形としての目標に置いていますが、今後、税源、財源をどうするのか、国と地方の役割・権限をどうするかなど、大きな枠組みの議論が重要です。
また、その前提として、効率的な政府に向けた行政改革の推進、さらには、地域のコミュニティーの再構築、NPOなど地域の方々の力をお借りしての社会の活性化などの仕組みをつくる必要があると考えます。
地域主権型道州制の検討、地方分権、行政改革に向けた、総理の考え方を伺います。
予算案の問題点
国民の期待裏切る公約違反
平成22年度予算案について、申し上げます。
鳩山内閣として、初めてとなる本予算案での問題点を申し上げます。
まずは、経済立て直しの視点が不明確な点です。
現下の経済状況にあっては、景気を回復させるための手だてが財政上も重要です。先に成立した21年度補正予算と連動させて、日本経済を立ち直らせるという視点が乏しく、先ほど指摘したとおり、成長戦略も反映されていません。景気を押し上げるには物足りず、今後の経済の先行きに不安を残すものであると言わざるを得ません。
また、財政規律を放棄し、編成当初から「はじめに国債44兆円ありき」でスタートするなど、結果として、今年度当初に比べ、プラス11兆円も膨らむ44・3兆円の国債の大増発となりました。
確かに、経済の悪化に伴う税収の大幅な落ち込みがあるとはいえ、マニフェスト実現を含めた予算の拡大のために、国債の増発によって、将来へ負担を先送りしたとの批判は免れません。
平成22年度は、とりあえず一時的な財源で取り繕っています。しかし、23年度以降のマニフェスト実現に必要な恒久財源は、一部増税以外はほとんど目星がたたず、これでは、将来のさらなる国の借金の拡大、あるいは大増税が避けられなくなるのではないか、との不安を増幅させるものです。
そもそも、財政健全化への道筋を示さないことは、政権として極めて無責任です。事実、一部格付け機関が、国債の格付け見通しを引き下げるなど、日本国全体への信任問題にもなりかねない状況です。これでは、経済成長はおろか、国債の金利上昇によって、本当に借金で首が回らない事態になりかねません。
そこで、総理。明確にお答えください。
平成23年度以降の国債発行は、まさか44兆円を超えるようなことはないと思いますが、どうでしょうか。併せて、マニフェスト実現に必要な財源は、マニフェストに書かれている以外の増税に頼らず、歳出の中身を組み替えることで賄う、ということを、この場で改めて明言すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
また、総理は、消費税増税は4年間行わないとしておりますが、他方で、議論をすることまでは否定されていません。であれば、いつから検討を始め、いつまでに結論を出すのか、見解を求めます。
次に指摘したいのは、マニフェストに反した、明らかな“公約違反”予算である点です。本予算案では、数多くのマニフェスト違反あるいは変更・先送りがなされております。マニフェストの契約が4年間であるとはいえ、わずか5カ月足らずで、契約の中身そのものを変更することは、国民の信託・期待に対する裏切り行為です。
その代表的なものが、ガソリン税などの暫定税率の「廃止」から「実質的維持」への変更です。しかし、総理の説明は、まったく説明になっていません。
人的控除についても、マニフェストに違反し、個人住民税の年少扶養控除の廃止と特定扶養控除の一部縮小による増税を決定しました。
また、鳴り物入りで実施した事業仕分けの予算への反映も、当初目標の3兆円には到底及ばない結果になりました。207兆円を見直しすれば10兆円くらいすぐ出てくるのではなかったのですか。
総理、改めて国民に対し、マニフェスト違反について、お詫びするとともに、きちんとした説明責任を果たすべきだと思います。
重要政策課題
担い手対策が農業再生の柱
子育て支援
私は、人口減少・少子高齢化が進むわが国において、「社会全体で子育てを応援する」ために、資源を集中的に充てるべきだと考えます。
具体的には、経済的支援の拡充ももちろん重要ですが、それに偏るのではなく、きちんと国民のニーズを見極めつつ、保育所等の整備などを含めた総合的な支援策を講じていく必要があると考えます。総理の認識を伺います。
「子ども手当」ですが、私は、子育て世帯に社会全体で直接的な支援を行う、あるいは「控除から手当へ」という視点は、公明党のめざす方向と同じであると認識しています。だからこそ、公明党はこれまで、厳しい財政事情の中で、その都度、適切に財源を確保しながら児童手当の拡充を図ってきました。
しかし、政府案では結局、「子ども手当」の恒久財源の確保には至っていません。
そこで、総理にお伺いします。総理、平成23年度以降は、マニフェストどおり、月2万6000円を支給しますか。であれば、なぜ、そのような法案を出さないのですか。また、恒久財源をどのように確保するのですか。マニフェストで明言している配偶者控除の廃止は、平成23年度税制改正で決定・実施するつもりですか。明確な答弁を求めます。
年金、医療、介護
次に、年金、医療、介護の問題について質問いたします。
第1に、年金制度の安全網を強化する無年金・低年金対策についてです。公明党が提案する「年金保険料の事後納付期間の延長」「受給資格期間の短縮」、さらには低所得の方に年金額を上乗せする「年金加算制度の創設」について、総理から、次のような答弁がありました。
「受給資格期間を短縮するのは重要な発想」である、「25年というのはやはり長過ぎる」「再度検討したい」とのことでした。総理。受給資格期間の短縮をいつまでに検討し、結論を出すのか、明確にしてください。
また、今、困っている低年金の方を救うために、年金加算制度について、先行して実施すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
第2に、医療についてであります。高額な医療費の負担を軽減する高額療養費制度について、衆議院に引き続き、参議院の予算委員会でも、わが党の山口代表が、その問題点を指摘し改善を求めました。その際、総理は、「できるだけ早く前向きな結論が出るよう検討を進めていかせたい」と答弁されました。早急に検討の場を立ち上げ、検討スケジュールを明確にすべきと考えますが、総理、明確にお答えください。
次に、介護問題について伺います。公明党は昨年11月、全国3000人を超える議員のネットワークを通じて全国47都道府県で「介護総点検」を実施しましたが、10万件を超える“現場の声”が寄せられました。
100人待ち、200人待ちの状態で、何年待っても入れない特養ホーム。十分な在宅介護サービスが受けられず、負担の重い家族が「介護うつ」などで悩むケースの増大など、深刻です。
「介護施設が圧倒的に足りず、少なくとも倍増させる必要があること」「在宅介護の不安も解消できていないこと」「介護現場で働く人が待遇面で希望をもてないこと」??この3点について早急にこれらの「現場の声」に応え、対策を講ずるべきです。抜本的な介護基盤の整備にどう取り組むのか伺います。
雇用、中小企業
雇用を取り巻く環境は、依然として厳しく、さらには、将来の見通しが見えない不安を国民は抱いています。
第1に、足元の雇用をいかに確保するかです。雇用情勢が悪化し始めた一昨年、7000億円の基金を創設しました。必要に応じて、増額を図るべきです。
第2に、「訓練・生活支援給付」の恒久化などセーフティーネットの構築です。公明党は雇用保険に代わる第2のセーフティーネットとして、職業訓練中の生活保障で、月に最大12万円を支給する「訓練・生活支援給付」の恒久化、および、その対象の拡大を提案しています。同じくセーフティーネットがない未就職新卒者への適用も含め、早急に対策を講じるべきであると考えます。
第3に、成長分野における戦略的な雇用創出を図ることです。高知県や岐阜市などでは、「フレキシブル支援センター」という、給与をもらいながら研修を行う「雇用つき研修体系」を実施しています。このような、雇用につながる支援策を、政府としても、併せて考えるべきです。以上、雇用問題に関する具体的提案に対し、総理のお考えを伺います。
中小企業支援策について伺います。当面の対策としては、中小企業の経営力を強化するために、たとえば資金繰り支援のさらなる強化、経営指導員等による相談体制の充実、下請けいじめ防止の徹底など、きめ細かな中小企業支援策を継続的に講じるべきであります。
農林水産業
次に、地域の活性化に関連し、農林水産業について、質問します。
先に公明党は、人口減少下での地域活性化を促進するため、農業、観光業等への就労を通じた大都市圏から地方への人口移動を促進するというビジョンを発表しました。
重要なのは「農業の再生」です。しかし、戸別所得補償制度に代表される民主党の農政転換は、期待の一方で多くの農業者から「農業に対する中長期的な展望が明確でない」「担い手対策や地域の自主性が担保されていない」などの基本的な問題点が指摘されています。
しかしながら、現政権は、その担い手育成、また、その柱の一つである集落営農の位置付けを明確にしていません。農業再生の柱といえる「担い手像」を欠いたまま、所得補償だけで農業生産は何とかなる、という状況ではありません。
生産現場の不安に応えるためにも、担い手像を含めた農業の中長期の展望について、明確にすべきです。総理の答弁を求めます。
林業については、需要に応じた必要量を機動的かつ安定的に供給できるよう、造林や間伐などの「川上対策」に加え、木材の加工やストックヤードなどの流通分野を担う「川下対策」を重視し、国産材の利用拡大を図るべきであると考えます。総理の答弁を求めます。
水産業について伺います。日本の周辺水域は本来、世界有数の豊かな漁場であり、水産資源を持続的に利用することができればわが国の漁業はさらに大きく発展できる可能性があります。水産物の安定した供給と世界に誇る日本の漁業と漁村の再活性化に資する、水産業の中長期の展望を示していただきたい。答弁を求めます。
エチゼンクラゲの大量発生や、漂流物による漁具や海岸環境などへの影響も深刻です。漁業者への支援策の拡充・強化が必要です。また、エチゼンクラゲが大量発生するメカニズムの調査研究や抜本的な対策を、中国、韓国と共同で進めるよう日本がリーダーシップを発揮すべきではないでしょうか。
社会資本整備
鳩山総理は、「コンクリートから人へ」とのスローガンの下、本予算案における公共事業関係費について、対前年度比18・3%という過去最大の下げ幅で削減しました。
総理は、地域経済を支える中小の建設業の将来像についてどうお考えか、答弁を求めます。
第1次補正予算の執行停止、さらには事業仕分けなどで、多くの公共事業が「不要・不急」だとして削られました。もちろん、ムダな事業を見直すべきは当然です。
しかし、例えば、対策が急がれる小中学校の校舎の耐震化予算を大幅に削減しました。果たしてこれが、民主党政権が掲げる「いのちを守る予算」と言えるのでしょうか。
校舎の耐震化は喫緊の課題であり、最優先で行うべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
近年、老朽化した上下水道管の破裂や橋梁の一部破損等の事故が、全国で発生しています。社会資本ストックの更新・老朽化対策は、国民の命に関わる問題です。事故が発生してから更新・改修等を行うような“場当たり的”な対応ではなく、計画的・集中的に進めるべきであると考えます。
真に必要な公共事業は、重点的に前倒しして行うべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
また、地域の活性化、国民生活にとって、道路のネットワークや港湾などの社会資本の整備は不可欠です。
公共事業の在り方を抜本的に見直すというのであれば、新たな時代に対応する社会資本整備の在り方について、安全・安心の観点、また成長戦略を含めて体系的に提示すべきであります。
文化芸術、科学技術
総理は施政方針演説の中で、「日本を世界に誇る文化の国にしていきたい」と訴えられました。大いに賛成であります。
しかし、昨年の事業仕分けでは、文化関連事業が軒並み削減の対象となり、その手法に多くの疑問の声が投げかけられました。
「子どもが本物の文化に触れる機会は大切だ」「仕分けのやり方があまりにも乱暴。哲学がない」「縮減ありきの会議だ」??どれも芸術家の方々の怒りの声であります。
人間の成熟は、文化芸術なくしてはあり得ません。また、国の地位は文化芸術への力の入れ方で決まる、とも言われております。総理は、どのように文化・芸術の振興に取り組まれるのか。見解を求めます。
また、科学技術は成長戦略の柱でもあります。政治主導というのであれば、ぜひとも、科学技術政策に関するグランドデザインをお示しください。
がん対策
次に、「がん対策の充実」について2点、確認いたします。
まず、第1次補正予算で、わが党が推進し、乳がん、子宮頸がん検診を無料で受けられる「検診クーポン券」の配布が実現しました。多くの自治体で検診率向上に効果を挙げていると評価されています。ところが、22年度予算案では、国の事業予算が3分の1近くの76億円にまで削減されております。結果、地方は悲鳴を上げ、来年度は「クーポン事業」自体を断念する自治体が出始めています。
女性のがん検診率は極めて低く、この検診率を上げる“起爆剤”と期待されていたのが無料クーポン事業です。なぜ大幅に減額をするのか。総理、明解に答えてください。
次に、緩和ケアの充実について伺います。
がん医療にとって、緩和ケアの充実は極めて重要ですが、公明党が推進し、成立した「がん対策基本法」では、たとえ「がんになっても、痛まない、苦しまない」社会をめざすことが重要な柱の一つとなっています。
このため、平成23年度までの5年以内に、すべてのがん診療に携わる医師が緩和ケア研修を受け、基本的な知識を習得することになっています。広く考えると約10万人の医師が、がん診療に携わっておりますが、まもなく3年が経過するにもかかわらず、これまでに研修を受けた医師はようやく1万人を超えたばかりです。
5年以内の研修修了者数の目標を明確に定め、併せて研修内容の充実も図り、多くの国民をがんの痛みから救うべきです。がんになっても自分らしく生きるためには、治療初期からの緩和ケアは欠かせません。
具体的な研修計画をはじめ、がん対策についての、総理の決意を伺います。
平和・外交
普天間問題 首相に5月決着の全責任
次に、わが国が直面する外交上の課題について伺います。
はじめに、先にハイチで発生した地震で、犠牲になった方々に対し、心から哀悼の意を表するとともに、被災者の方々にお見舞いを申し上げます。
近く、わが党同僚議員を現地に派遣します。必要な支援の在り方を、党としても調査してまいりますが、総理は、PKOへの派遣を含め、必要な支援措置について、どうお考えか、答弁を求めます。
北朝鮮問題に対する鳩山総理の考えについて伺います。
北朝鮮問題の解決へ向けては、圧力と対話が重要にもかかわらず、国連決議1874号で求められている貨物検査の実施など、具体的な政府の動きが見られません。
拉致問題など具体的な取り組みについて、総理のご所見を伺います。
次に、普天間基地移設問題についてであります。
移設に関して、平野官房長官が地元の合意がなくとも「法的措置」によって可能と発言するなど、この問題における総理や関係閣僚の発言が定まっていません。沖縄県民には、戸惑い、憤り、そして不安が交錯しています。
普天間飛行場の危険性の除去、すなわち住民の生命・財産を守ることが、この問題の根本であります。
総理は、5月末までに結論を出す、と繰り返し述べています。沖縄県も、移設先の自治体も、そして米国も含めて、すべての関係者が合意できる「5月決着」についての全責任は総理、あなた自身にあります。改めて国民に明確にして頂きたい。答弁を求めます。
非核三原則、武器輸出三原則について、世界は今、核兵器廃絶へと大きく動き始めました。他方、核テロリストなどへの核拡散が懸念されるという国際情勢の中にあって、この二つの原則の重要性はさらに増すものと考えます。総理のご所見を伺います。
政治とカネ
相次ぐ疑惑 自浄作用働かぬ民主党
政府・与党のトップである鳩山総理の偽装献金問題。小沢・民主党幹事長の資金管理団体による土地購入疑惑。さらには、それに関連して民主党の現職国会議員や秘書が逮捕されたことは、まさに異常事態であり、極めて遺憾です。
総理はかつて「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と繰り返し言われています。
過去の自分の言葉に照らして責任を取ることは、一国のリーダーとして当然だと思いますが、総理、改めてお伺いをいたします。
母親からの総額12億6000万円にも上る贈与について、「もらったこと自体、知らなかった」「何に使ったのかも知らなかった」では、到底、国民の理解は得られません。使途も含め、この問題についても全容を明らかにすべきです。
また、総理は予算委員会で、政治資金収支報告書を「十数年間見ていなかった」と答弁されました。これにも国民から、驚きの声が上がっています。一般の常識ではあり得ません。
「見ていない」の一言で、すべてが済むとお思いなのでしょうか。国民からは「それならば収支報告書に政治家本人が署名するようにすべきだ」との声も寄せられています。当然だと思います。
このような指摘に総理はどのように答えますか。答弁を求めます。
また、小沢幹事長の資金管理団体による土地購入資金疑惑について、小沢幹事長自身が、二度にわたって事情聴取を受けたことが明らかになりました。捜査に進んで協力することは政治家として当然ですが、あらゆる機会を通じて、自ら、積極的に説明責任を果たすべきです。
総理。小沢幹事長自身に対しても、しっかりと説明責任を果たすよう、党の代表として毅然とした態度を示すべきだと考えますが、総理、いかがですか。お答えください。
また、民主党の自浄作用が全く働いていないのも不思議としか言いようがありません。党として説明責任を果たし、政治の信頼回復のためにも積極的に自浄能力を発揮すべきだと思いますが、明確にお答えください。
国民の政治への信頼を取り戻すためにも、“知らなかった”では済まされない新たな仕組みが必要です。
公明党は、秘書などの会計責任者が虚偽記載などの違法行為を行った場合には、監督責任のある議員も公民権を停止する「政治資金規正法改正案」を昨年、国会に提出しました。
さらに、企業・団体献金の禁止等も含め、再発防止策を検討する与野党の協議機関の設置を提案し、各党に呼び掛けたところです。
総理。この通常国会で、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、再発防止策を実現しなければなりません。政治家本人の監督責任の強化、企業・団体献金を禁止する法改正を図り、「清潔な政治」を実現しようではありませんか。
総理、「信なくば立たず」です。
政治の信頼回復は、ひとえに総理御自身の決断、行動によることを強く申し上げ、私の質問を終わります。
井上幹事長に対する鳩山首相の答弁(要旨)
一、(給付つき税額控除の導入について)所得把握のための番号制度の導入を前提として検討を進める。番号制度は、社会保障制度の効率化、所得把握の精度を高めるために必要不可欠なインフラだ。1年以内に早急に検討を進め、結論を出したい。
一、(介護基盤の整備拡充について)公明党が調査された介護の問題だが、高齢者が住み慣れた地域で暮らせるように施設・在宅サービスについて、過去3年分と比べて倍の整備量に当たる約16万床を整備する。地域包括ケアシステムも構築し、介護基盤の整備に万全を期していく。
一、(学校の耐震化について)平成22年度予算案では、公立学校の施設の耐震化予算は増額している。しかし、公明党は「これでも十分ではない」と言うと思う。さらに今後、予算の効果的な執行に努めるとともに2兆円の景気対策枠などの活用も視野に入れていく。
一、(政治資金収支報告書への政治家本人の署名などの義務付けについて)各党各会派で十分に議論し、成案を得ることを期待する。個人的に申し上げれば、国民の声に謙虚に耳を傾け、不断に見直す姿勢が必要だ。前向きに検討すべきだ。
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