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「介護総点検」の調査結果 (速報値)
公明新聞:2010年1月9日付
公明党総点検運動推進本部(本部長=山口那津男代表)が8日に発表した「介護総点検の調査結果」(速報値)の概要を紹介します。
<調査方法>全国3000人超の公明党議員が、昨年11月から12月にかけ、(1)街角アンケート用(2)要介護者および介護家族用(3)施設・事業者用(4)介護従事者用(5)市区町村用??の5種類の調査票を基に、基本的に訪問聞き取り調査を実施(街角アンケートは党ホームページでも回答受け付け)。
街角アンケート (回収数 7万6689件)
介護受けたい場所 「施設」「自宅」とも4割超
◆介護保険制度の開始から10年を経過し、7割近くの人が制度を知っていると答え、認知度の高さがうかがえたが、知らない人も3割に上った【グラフ(1)】。今後さらに普及啓発に努めることが必要との結果になった。
◆介護に対する将来の不安は、「経済的負担」「自分自身や家族が寝たきりや認知症になるかもしれない」が、ともに約6割に達しており、「家計」や「健康面」に不安を感じている。また、自宅の介護に対する不安、特別養護老人ホームなど、介護施設不足に対する不安の声がともに3割に上った。
◆介護を受けたい場所は、「入所系の介護施設」(45・8%)と「自宅」(42・3%)がともに高率だった。病院は12・8%と少なかった。
◆回答者のうち、8割近くの人が、家族の中で誰も介護保険サービスを受けていなかった。要介護者が家族内にいた人は3割強で、このうち、介護保険を利用していない人が4割強を占め、その理由で最も多かったのは「家族介護で間に合っている」(19・1%)だった。
◆介護保険料については、「高すぎる」が約4割と最も多く、「将来どこまで増えるのか心配」「上限、月額5000円が限界」などの意見が寄せられた。その一方で、保険料の月額を知らない人も3割いた。
◆「介護職に就いてみたいか」との問いには、4割の市民が重労働、低賃金を理由に、「あまりやりたいと思わない」と答えた。
要介護者・家族調査 (回収数 6265件)
「保険料に負担感」7割弱
◆要介護認定基準については、5割強(52・5%)の人が「適当」と答えたものの、「軽すぎる」「やや軽い」は3割に上った【グラフ(2)】。
◆介護を受けている場所は、7割以上の人が「自宅」と答え、特別養護老人ホームやケア付き住宅などで暮らす人は2割だった。
◆自宅で介護を受けている人のうち、困っていることは、「介護する家族の負担が大きい(身体的、精神的、経済的)」(35・8%)が最も多い。「本人や家族の具合が悪くなった時に一時入所できる施設がない」(18・8%)、「利用料が高い」(18・6%)が続いた。「介護施設への入所待ち」は11・2%だった。
◆自宅での介護サービス利用は「デイサービス」(40・3%)、「ショートステイ」(17・4%)、「福祉用具貸与」(16・9%)、「ホームヘルプサービス」(15・6%)の順だった。
◆介護保険に対する不安や不満は「制度が分かりにくい」(32・5%)、「利用料の負担が重い」(30・4%)が多い。次いで「要介護認定の方法」(21・8%)が続いた。
◆介護保険料の負担感については、負担を感じる人が7割弱を占め、「適当」と答えた人の3倍強に達した【グラフ(3)】。
◆このほか、介護保険制度が複雑で分かりづらく、受けたいサービスが受けられていない。申請の簡略化や、もっと周知徹底してほしいという意見が多く寄せられた。
◆年金収入のみの高齢者夫婦が負担できる介護保険料にしてほしいとの訴えがあった。
◆在宅介護は家族の負担が重い。緊急時に入所できる施設を増やしてほしいとの意見も多い。
介護事業者調査 (回収数 4587件)
見直し望む声「事務軽減」「公費の増額」
◆事業所の介護従事者の人数が足りているか聞いたのに対して、半数近い事業所が「足りている」(44・5%)と答えたものの、一方で、介護従事者が「不足している」と答えた事業所は、「介護職」が27・2%、「看護師」が23・7%、「ホームヘルパー」が18・2%の順になった。
◆介護従事者の平均勤務年数は5年以上働いている人が24%を占めたが、勤務年数が比較的短い人が多い。勤務年数が短い理由として、「業務内容に対して収入が低い」「心身の負担が大きい」ことが挙げられた。
◆勤続年数や有資格者が必ずしも給与体系に結び付いていないことへの不満もある。
◆事業所で、最も力を入れていることは、「スタッフの技術の向上」が最も多く、9割近くを占めた。
◆介護保険制度の見直しについては、「事務量の軽減」「要介護認定のあり方」「情報公表制度」「公費負担分の増額」を望む声が格段に多かった。
◆介護報酬の見直しについては、業務量や難易度に応じた介護報酬体系への改善、24時間稼働する施設の介護報酬の引き上げを求める声が圧倒的に多い。また介護報酬の加算の見直しではなく基本部分の見直しを求める声も強い。
◆介護保険料の徴収を20歳からに引き下げて財源に回してはどうかとの意見もあった。
◆介護職員処遇改善交付金への事業所の対応では、「一時金の支給を行い今後の様子を見る」が5割を超えた。
◆そのほか、介護職員以外への対応では、看護職員や事務職員との兼ね合いに悩んだという意見が多くあった。対応については、介護職員のみの事業所や、介護職員以外にも一時金を出した事業所など、対応が分かれた。
◆介護保険制度に対する要望では、「事務量の軽減」や、「利用者の自己負担額は年金以内にすべき」「24時間体制の介護職員の給料が低い」「施設入居の希望が多く入居待ちが多い」「認知症に対応した制度の充実」「情報公表制度は必要ない」など、見直しを求める声が多く寄せられた。
介護従事者調査 (回収数 1万1286件)
「続けたい」7割、「賃金少ない」「負担大きい」8割
◆介護の仕事を選んだ理由については、「人の役に立つ働きがいのある仕事だから」が6割弱を占め、次いで「介護に興味があったから」「今後もニーズの高い仕事だから」と続いた。
◆仕事に対する満足度の高いものは、「仕事内容にやりがいを感じる」が6割強で、仕事に誇りを持って携わっていることがうかがえる。次に「福祉に貢献できる」「知識・専門性が発揮できる」の順だった。
◆今後も仕事を続けていきたいかとの問いには、7割が「働ける限り続けたい」と答えた。
◆離職率が高い原因は、「業務内容に対して収入が低い」「心身の負担が大きい業務内容」と答えた人が、それぞれ約8割(複数回答のため)を占めた。
◆このほか、介護従事者の処遇改善については、女性にとって働きやすい職場環境へ、保育所等を近くに併設したり、産休後のバックアップ体制の充実が必要との意見があった。
◆介護従事者の相談に乗ってくれる専門員や電話相談体制の構築、リフレッシュ休暇など、メンタルケアの充実を求める声があった。
◆人員の確保では、せめて利用者対職員が2対1になると、もっと高齢者とかかわることができ、高齢者も生き生きとした生活ができるとの意見も。
◆利用者からのセクハラも多い。社会的に存在意義を高める方策を国が考えてほしいとの声があった。
◆経験年数や資格等のキャリアにあった報酬単価への改善を求める意見が寄せられた。
◆介護職員処遇改善交付金の対象職種を拡大して永続を希望する声があった。
◆事務処理が複雑で多すぎることを指摘し、簡素化を求める声が多い。
全国市町村調査 (回収数 1159件)
施設系の不足など「課題がある」4割超
◆要介護認定のあり方について、利用者や事業者から寄せられた意見で多かったものは、「認定審査に時間がかかる」が6割を超え、「認定結果が低い」「認定審査員や訪問調査員の負担が大きい」が続いた。
◆介護保険料については、高いと答えた人が6割強を占め、「適切」(22・5%)と答えた人の3倍が「高い」と思っている。
◆利用者負担については、「適切」(42・6%)が最も多く、「やや高い」(24・0%)と「高すぎる」(7・4%)を合わた31・4%を上回った。
◆介護保険開始から現在までの各自治体の取り組みについては、「少なからず課題がある」が4割を超えた【グラフ(4)】。その課題の中で、特に多かったのは「施設系の不足」だった。このほか、「人材不足」「介護予防が進まない」などの課題がある。
◆今後充実していきたいサービスでは、「小規模多機能型居宅介護」「認知症対応型グループホーム」がともに4割を超え(複数回答可のため)、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)も4割近くに迫った。このほか、短期入所生活介護、訪問介護に力を入れていきたいと答えた自治体が多い。
識者から評価の声
高齢社会をよくする女性の会・理事長 樋口恵子さん
「介護総点検」の調査結果は、少子高齢社会に直面する日本の将来像の基礎を設計する上でも、非常に大事な資料になると思います。
調査活動そのものも、街角でのアンケートに加え、要介護認定者や介護家族、介護事業者、介護従事者、自治体を対象にした多角的なもので評価します。また、全国にある約1800自治体のうち、約6割の市町村から回答を得ていることにも、驚きました。これも、3000人超の議員ネットワークがある公明党ならではの取り組みだと思います。
一方、調査結果については、介護保険制度が施行から10年もたつのに、3割近くの人が知らない実態が浮き彫りになり、衝撃でした。介護サービスは、水や電気と同じように、必須のインフラ(社会基盤)であるべきですが、国民にとってはまだまだ複雑で信頼を得られていないのだと思います。調査結果では、申請の簡素化や制度の周知徹底を求める声が上がっていますが、その通りだと思います。
また、7割の介護従事者が「働ける限り続けたい」と回答している通り、介護従事者の志を挫かぬよう、特に女性が働きやすい職場環境、相談体制、休暇の取れる代替支援などの整備が急務だと思います。
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2010年9月2日付


