県内5市で若者ジョブ・ナビゲーション
就労の相談や助言行う
国の基金を活用し、来年3月まで
身近な場所で就職
公明新聞:2009年11月13日付
主任介護支援専門員、保健師、社会福祉士ら3職種が連携し、高齢者の介護予防や、介護、医療、福祉に関する総合相談を一カ所で行う地域包括支援センター。それぞれが専門性を発揮し、地域の高齢者を支援することが狙いだったが、職員からは「業務量が多過ぎる」などと悲鳴が上がっている。
急増する総合相談件数
認知症などへの対応限界に近い支援網
「介護予防のケアプラン作成で手いっぱいで、他の事業まで手が回らない」。首都近郊で地域包括支援センター(包括)を運営する法人関係者は、そう言って業務の多忙さを訴えた。
包括は通常、人口2万?3万人に1カ所の割合で設置され、1カ所当たり3?4人の職員配置が基本だが、同法人関係者の包括には、主任介護支援専門員、看護師、社会福祉士の3人が配置されている。業務内容は、予防プラン作成がかなりのウエートを占め、毎月約90件のプランを作成しており、同法人関係者は「とても3人ではやっていけない状況だ」と打ち明ける。
予防プラン作成は、根気のいる地道な作業。例えば、初めてプランを作る場合、高齢者から生活状況などを聞くが、これだけで2時間近くを費やす。初対面の職員には話したがらない高齢者も多く「信頼関係を築くことから始める」(主任介護支援専門員)という。
高齢者の生活状況を把握した後は、課題を分析し、目標や具体策を盛り込んだプラン案を作るが、家族やサービス提供担当者(事業者)と共通認識を持ち、本人の同意を得てようやくプランが確定する。さらに、サービス開始後も最低3カ月に一度は高齢者宅を訪問して利用状況を確認し、問題があれば頻繁に足を運ぶ。
こうした業務の実情を考えると、1カ月間に2?3人の担当なら可能だが、10?20人担当すると状況は苦しい。このほか包括には、あらゆる相談が寄せられ、さまざまな対応が迫られる。ある月の記録を見ると162件の相談があった。
地域柄、職員が高齢者の総合相談・支援に専念せざるを得ない包括もある。東京都北区の社会福祉法人が受託する桐ケ丘やまぶき荘地域包括支援センターは、担当エリアに、昭和30年代から入居が始まった都営桐ケ丘団地など二つの大規模団地を抱える。その一部は高齢化率50%超の、いわゆる“限界団地”だ。
3職種の常勤3人と非常勤1人の計4人で担当する高齢者は7000人を超え、包括に寄せられる総合相談は、年間約1万件に及ぶ。その内訳は、介護予防サービスに関するものが最多で、次いで介護・認知症に関する相談が多い。
団地に住む約半数の高齢者は独り暮らし。地域に身内がいない場合も多く、それだけに認知症の高齢者への対応では、近隣や民生委員からの情報で職員が駆け付ける。同包括の主任介護支援専門員は最近、独り暮らしの認知症の高齢者を担当したが、初訪問時は「冷蔵庫はほぼ空で、食事も満足にできていない状態」であり、介護認定も受けていなかったため、かかりつけ医による受診など認定申請のための手続きや認定調査の立ち会い、身内探しなどに奔走したという。その結果、区直営の包括とも連携し、この高齢者は最終的にグループホームへの入所が決まったが、その身支度などもすべて職員が行ったという。
同包括では、こうしたケースを日常的に扱っており、既に手いっぱいの状況。最近では、こうした認知症のほか、低所得者の経済問題など「支援困難家庭」への対応も増えており、支援網は限界に近い状態といえる。
地域包括支援センターとは
2006年4月施行の改正介護保険法により創設された。市区町村の直営、または委託を受けた社会福祉法人などが運営する。業務は、要支援者の介護予防のケアプラン作成などを行う介護予防支援事業と、総合相談などを行う地域支援事業に大別される。全国の約4000カ所に設置されている。
社会保険を補う役割
介護予防の仕事は外すべき
淑徳大学総合福祉学部 結城 康博准教授
地域包括支援センターの現状や課題などについて、淑徳大学総合福祉学部の結城康博准教授に聞いた。
地域包括支援センターの現状を見ると、要支援1、2を中心としたケアプランの作成に追われ、事実上の「介護予防センター」と化しています。一部を除き、仕事の7割前後が介護予防に関するもので、高齢者の総合相談支援や包括的ケアマネジメント事業などは3割ぐらいしかありません。
もともと地域包括支援センターに期待された業務は「介護予防マネジメント」のほか、「高齢者の総合相談窓口」「高齢者虐待の相談・調整」「地域のネットワークづくり」が含まれます。むしろ、これらの機能の方が重要です。介護予防に関する仕事量が膨大となれば、他の業務はどうしてもおろそかになります。
介護保険はあくまで社会保険であり、契約主義です。このため、自ら「サービスを使いたい」と申し出ない限り、サービスの対象になりません。そうすると、契約から抜け落ちてしまう高齢者が必ず出てきます。例を挙げれば、認知症や低所得の高齢者、あるいは虐待を受けている方々です。高齢化の進展に伴って、こうした方々は今後、ますます増えます。しかし、介護保険には、こうした人々を探し出し、サービスにつなげていく機能はありません。
これまで高齢者をサービスにつなげる作業は、自治体が行っていました。今は地域包括支援センターがその役割を担っていますが、その約6割弱が民間委託です。契約に関することは民間でもいいでしょう。しかし、高齢者とサービスをつなげる役割は本来、公共が担うべきで、明らかに自治体の役割が後退しています。自治体の仕事は指導・監督が主となり、介護現場から引いています。これでは、「民間に業務を“丸投げ”している」と言われても仕方ありません。
地域包括支援センターには、社会保険を補う役割があり、基本的には、その業務から、介護予防に関する仕事は外すべきでしょう。また、運営費も介護保険財源の中から出すのではなく、国庫負担等の公費で賄うべきです。
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2012年5月25日付


