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ドラッグ、犯罪から子どもたちを守れ

公明新聞:2009年10月18日付

子どもたちに語り掛ける水谷(正面左)、浜田(同右)の両氏=16日深夜 横浜市内子どもたちに語り掛ける水谷(正面左)、浜田(同右)の両氏=16日深夜 横浜市内

“夜回り先生”と公明議員がパトロール
辛抱強く向き合う大切さ痛感 浜田参院議員

 夜の街に眠らない子どもたちがいる??。明け方近くまで友達と路上で話し込んだり、あてどもなく歩き続ける子どもたちだ。夜ごと寄り添うその姿 は、一人では抱え切れない寂しさや悲しさから懸命に逃れようとしているかのようだ。そして、そうした子どもたちの満たされぬ“心のすき間”にドラッグなど の犯罪の魔の手が忍び寄る。不登校、ひきこもり、援助交際……。悩める子どもたちと向き合い、命の尊さを伝え続けて“夜回り先生”と呼ばれる水谷修氏と、 公明党の浜田昌良参院議員が16日深夜、横浜市内の繁華街をパトロールした。【本文中、敬称略】

家に帰らず路上にたむろ
何度も帰宅促し子どもたちと関わり持つ

深夜の繁華街に居場所求め

【21時30分】広場に座り込む制服姿の高校生に「午後10時には帰れよ」と声を掛けながら歩いていた水谷と浜田は、飲食店やゲームセンターなどが立ち並ぶ通りの路上でたむろする男女7人の前で足を止めた。年齢を聞くと、全員10歳代だという。

 水谷は、サングラスをかけたミキ(仮名)という女の子と言葉を交わし始めた。「リストカットしてる?」。「うん。もうしない」とミキ。そして「先生、相談したいことがあるんだ」とつぶやくと黙り込んだ。水谷は「つらいときはメールを下さい」と語り掛け、名刺を渡した。

 すると、ミキの横にいたリサ(仮名)が「私、鑑別所に居たよ」と話し始めた。「葉っぱ(大麻)とかは?」と聞く水谷に、「ホントのこと言っちゃダメでしょ」とはぐらかした。

“夜回り”では人通りの少ない路地も見て回った 【22時15分】同じ場所でたたずむミキやリサたちと再び会った水谷が「帰りなさい」と諭すと、リサは「何で帰れって言うの」と訴えた。「うちのパパの彼女は17歳だよ。一緒に暮らせるわけないでしょ!」と怒りをぶちまけた。

 その時、ミキはサングラスを外し、初めて素顔を見せ、洋服の袖をまくった。露わになった白く細い腕には、いくつもの傷跡があった。

 【22時40分】ミキやリサたちが立ち去る姿を見届けた水谷と浜田は、再び歩き始めた。

 水谷は「あの子たちは家には帰らないだろう。彼女たちは、ここに居たくて居るわけじゃない。彼女たちが生きてきた歴史は1日で変えられない。勝負は今じゃない。20?30歳代になった時、満足できる人生を歩めるようにしてあげたい」と、子どもたちと辛抱強く関わり続けることの大切さを強調した。

 【23時10分】ミキやリサらは水谷の予想通り、また同じ場所にいた。帰宅を促しても、彼女らは「嫌だ」と抵抗し、その場を離れなかった。

 すると、酒に酔った男がミキやリサたちに、ちょっかいを出し始めた。男は、すかさず割って入った水谷の腕をつかみ、殴りかかりそうな勢いで詰め寄った。水谷はやむなく、携帯電話で110番通報した。数分後に現れた警察官2人がその男を取り押さえると、ミキやリサたちは水谷と浜田に別れを告げ、その場を立ち去った。

 終了後、浜田は「辛抱強く関わろうとする水谷先生に心を開く子どもたちの姿を見て、われわれ大人たちのあるべき姿勢、また青少年政策のあるべき方向性を見いだした思いがした」と感想を述べ、「“役所の論理”を超えて、子どもたちの悩みにしっかり向き合っていく体制づくりに取り組まなければならない」と決意を語った。

「助けて」「死にたい」 1日100件以上のSOSメール
「『ありがとう』が生きる力に」 水谷氏

子どもたちから寄せられたメールを読む水谷氏=神奈川県逗子市の事務所でパソコン画面の向こう側

 「助けて」「死にたい」「シャブ(覚せい剤)やってます」??。水谷の元には、夜の街やマスコミで“夜回り先生”を知った子どもたちから多くのEメールが届く。どれも一人で悩み抜いた末の“SOS”だ。中には、自傷行為の傷口の写真を添付したものも。そんなメールが届くパソコン画面を見ながら水谷は「寂しいね……。これが、今の日本社会の縮図だ」と、小さくつぶやいた。

 メール相談を始めて5年。子どもたちから寄せられたメールは、ここ3年半だけでも15万件に上る。少ない日で1日100件、テレビ出演した日は1000件を超える。「悪いのは子どもじゃない。大人が話を聞いてあげることが必要だ」と水谷は、その一つ一つに目を通して返事を送る。ただし、自殺志願、虐待、薬物依存など、緊急を要する場合は、警察の協力を得て子どもの保護に努める。毎日が緊張の日々だ。

 唯一の支えは「水谷先生、ありがとう」「わたし、頑張って生きるね」など、水谷に救われて生きる力を取り戻した子どもたちからの感謝のメールだという。「子どもたちには『他人のために何かしてごらん』と教えている。『ありがとう』という言葉が、生きる力になるから」と水谷は語る。

【みずたに・おさむ】 1956年生まれ。元高校教諭。青少年非行と薬物汚染防止のため、夜の繁華街のパトロールを通し多くの若者と触れ合う「夜回り」を18年間続ける。全国の子どもたちから寄せられる相談にも応じる。精力的な講演活動も実施。著書「さよならが、いえなくて 助けて、哀しみから」(日本評論社)は今秋、テレビドラマ化された。

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