公明党トップ / ニュース / 「介護で会社を辞めました」

「介護で会社を辞めました」

公明新聞:2009年10月17日付

シリーズ 介護は今
“人生の転機”に決断した理由は……

家族を在宅で介護するため、それまで勤めていた会社を辞めざるを得なかった人たちがいる。その理由や背景はさまざまだが、「介護」という“人生の転機”に直面し、決断を余儀なくされた人々の思いの丈を聞いた。【この企画は随時、掲載します】

寝かせきりにショック 「連れて帰って!」と母の声 ケース1

ある日、仕事から帰ると部屋から異臭がした。母がトイレ移動に失敗し、粗相をしていたのだ。そのころ、母から「よっちゃん」と呼ばれるようになった。母の姉の名前だった??。
逢坂恵美さん(仮名、56歳)の母(79歳)は、4年前の骨折を機に、容態が悪化した。ケアマネジャーに相談し、悩んだ末、老人保健施設に入所させた。
しかし、施設に移り、おむつを着けた母の姿を見てショックを受けた。「これでは寝かせきり老人だ」。施設の職員を見ると、「この人たちは良くしてくれている。でも、忙し過ぎる」と感じた。「国は、こういう介護の現場を知っているのだろうか」と、恵美さんは疑問に思った。
夜、自宅に1人でいると、厳しくも優しい母を思い出した。施設に顔を出せば、その母が「連れて帰って!」と繰り返した。胸がつぶれそうだった。恵美さんは、在宅で母の介護に専念しようと決めた。そして今年7月、有名企業を辞めた。


数百人待ちで施設を諦め 在宅サービス支援の充実願う ケース2 

金属加工の職人だった深井良勝さん(仮名、67歳)が会社を辞めたのは、数年前に母(89歳)が認知症になり、徘徊を繰り返すようになったからだ。「会社は『仕事を続けないか』と言ってくれたが、無理だと思った」と振り返る。
要介護5の母との二人暮らし。最もつらいのは夜、眠れないこと。母が2時間おきに目覚めるため、3年近く熟睡できない状態だ。初めは施設に預けたかったが、申し込んだ時点で数百人待ち。良勝さんは「行政には頼れない」と、施設への入所を諦めた。
現在、良勝さんは介護保険で週2回のデイサービスや電動ベッドのレンタルなどを利用。「利用料が1割で済むのはありがたい」と語る。その上で、「介護の苦労を分かってもらえば、もっと支援が充実するかもしれない」と付け加えた。
深井さんは、しまっておいた履歴書と封筒を取り出してつぶやいた。「いつか仕事ができるようになったらと、用意していたのだが……」。


「面倒を見る!」と宣言 瞳うるませた要介護5の妻 ケース3

大熊孝夫さん(仮名、71歳)の一日は、糖尿病でほぼ寝たきり状態の妻の血糖値測定から始まる。3度の食事の前に打つインスリン注射も欠かせない。11年前までは妻が自分で打っていたが、指に力が入らなくなったのだ。孝夫さんはそのころ、長年務めた会社を定年退職した。「会社側からは、継続雇用を提示されたが、断った」と言う。
今、一切の家事と要介護5となった妻の食事のカロリー計算、入浴介助などの介護を孝夫さん1人で行っている。日々、不安は募る。夫婦2人の年金だけでは不慮の入院等に備えられない。スーパーでの買い物は半額か割引の商品を選ぶ。近くの中学校で行っている毎夕1時間のアルバイト代(月2万円強)がせめてもの救いだという。
自分で介護すると決めた時、「私がずっと面倒を見る!」と妻に宣言した。今も、その気持ちは変わらない。「愛してるよ」。時折、妻に呼び掛ける。妻はあまり表情を変えないが、その瞳はうるんでいた。

【写真】妻を介助する大熊孝夫さん(仮名)。優しく声を掛け続ける



私もひとこと ??

辞めたくても辞められない55歳 女性

義父、夫に続いて、義母の介護が必要になり、体力的に無理だと感じ、義父は施設に入所させました。
本来なら、家族で面倒を見てあげたいのですが、お金が掛かり、仕事を辞めたくても辞められません。本人や介護する家族にもストレスが高まっています。介護で仕事を辞めても、生活できる人はよいでしょうが、できない人も多いのです。

60歳は求人なく再就職は難しい60歳 男性

今年2月に亡くなった母を14年間、介護していました。当時は体調を崩して会社を辞めていたので、私が面倒を見ようと決めました。手の掛からない母でしたが、最後の1年はおむつを使いました。私は独身なので、自分の子どものおむつを替える経験をせず、母のおむつを替えたのは、正直つらかったですね。
ハローワークに行っても、60歳代では求人がないので、再就職は難しいと思います。

近くで短時間働けないかと57歳 女性

母との同居介護をきっかけに、看護師の仕事を辞めて4年半がたちます。母の年金と、自分の貯金を取り崩して生活しています。
母は要介護3で、料理は一切できず、着替えも1人ではできません。近所で短時間で働ける場所がないかと探しましたが、派遣登録しても仕事は見つかりません。ケアマネジャーからも「資格があるのに、もったいない」と言われています。

一家で仙台へ、つらかった転院54歳 男性

7年前の正月、当時78歳だった母が、突然、脳梗塞で倒れました。実家は仙台。父親は84歳の高齢で母の面倒を見ることができません。当時、私は東京で銀行マンでしたが、意を決して仕事を辞め、一家で仙台へと移り住みました。
一番困ったのは、特別養護老人ホームに入るまでの間、3カ月おきに三つの病院を転々としたことです。転院のたびに母が衰えていく様子が手に取るように分かりました。一年で退職金を使い果たしました。再就職に非常に苦労しました。

もっと早く相談していたなら…70歳 女性

会社を辞めた後、介護サービスを利用し始めたのは、主人が亡くなる約2カ月前からです。主人の徘徊には本当に大変な思いをしましたが、私自身、「寝たきりにならないと、介護サービスは使えない」と思い込んでおり、手続きが遅れたのです。
しかし、この間、医療機関から介護サービスの利用に関する十分な説明がなかったのも事実です。今、思えば、もっと早く自分から相談すればよかったと思っています。

週間人気ランキング
(集計期間:5月19日~5月25日)

  1. 1位

    「日本再建」に総力を挙げて取り組むことを確認し合った県代表懇談会=21日 公明会館

    防災・減災で日本再建(2012年5月22日付)
    公明、県代表集い新たな出発
    命守る社会基盤造りを
    100万人雇用創出も 10年で100兆円を集中投資
    山口代表が訴え
  2. 2位
    解説 音楽・映像の違法ダウンロード(2012年5月16日付)
    深刻化する著作権侵害
    「罰則化」などの対策検討を
  3. 3位

    障害者総合支援法案について障がい者団体と意見交換する党合同会議=3月29日 衆院第1議員会館

    障害者総合支援法案(2012年5月15日付)
    成立待たれる
  4. 4位

    石井啓一政調会長

    防災・減災ニューディール(2012年5月23日付)
    石井啓一政調会長に聞く
  5. 5位
    生活保護の増大(2012年5月23日付)
    自立促す包括的な支援を

過去のニュースをお探しの方は、「キーワード」もしくは「日付」でお探しください。

キーワードで探す

日付で探す

公明新聞のお申し込み

日本の未来、世界の明日が見えてくる
公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

最新のニュース

2012年5月25日付

日本の未来、世界の明日が見えてくる

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読