裁判員制度の基盤を確かに
公明新聞:2010年2月2日
社会を支えるルールの体得めざす
法教育の推進
裁判員制度の導入によって、学校における法教育に改めて注目が集まっている。
裁判員制度は、くじで選ばれた法律の素人である国民が裁判員となり、法律のプロである裁判官と一緒に法廷で犯罪を裁く、国民の司法参加制度である。昨年5月から施行された。
裁判員には法律の知識は要求されない。評議の時に法律の知識が必要になった場合、裁判官が説明してくれる。しかし、事件の証拠品や証言を調べる際、裁判員は社会人としての健全な良識を発揮して判断するよう求められる。これまでの刑事裁判は、裁判官の判断だけで有罪・無罪が決まり、刑罰の重さも決まった。その判決に、広く一般国民の社会的良識を反映させ、刑事裁判を革新することが裁判員制度導入の目的である。
それでは、裁判員制度の中で国民に期待される社会的良識とは何か。
さまざまな答えがあると思われるが、社会の中で他人と支え合って生きていくための教養と態度が社会的良識の一つであることは確かであり、それは同時に、社会を支えるルールである法そのものの理念と精神でもある。法教育の目的はまさに、この法の精神を学び体得することである。
小中高等学校で実施される法教育は、決して裁判員制度のためだけに行われているわけではない。しかし、青少年が、法教育を通して法の精神を学び体得することが、裁判員制度の確かな基盤づくりに貢献することも確かであろう。
先月30日に仙台市で開催された法務省主催の「法教育シンポジウム」で基調講演に立った大村敦志東大教授は、法教育の一例として、学級の中であるルールをつくる場合の議論の仕方を取り上げた。学級でルールをつくるときは、(1)他人の言うことに耳を傾ける(2)主張を基礎付ける論拠を挙げる(3)異なる意見を尊重する――ことが大事であり、実は、この方法はそのまま国の立法にもつながることを示した。このように、法教育は法律の条文を教えることではなく、法の中にあるすぐれた価値観や方法・技術を学び、それを体得させることを通して良き市民を育てることが主目的であると強調し、法教育は市民教育とつながるとの考えを示した。
この日のシンポでは宮城教育大付属小学校での実践報告も行われた。テーマは情報化社会。4年生に対し、情報はただ自由に知りたいというだけでなく、知られたくない情報をどう扱うかも重要であることを見事に子どもたちに考えさせていた。
法律家も積極的に支援
法教育は学習指導要領の改定に伴い、重視されることになっている。学校の現場では、法教育だけでなく、消費者教育、環境教育など、130余りのテーマの実践が求められているという。幸い、法教育には法律家による教育現場の支援も可能であり、実際に進んでいる。法教育の推進に期待したい。
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