がん治療の新たな選択肢 免疫細胞療法
公明新聞:2009年5月5日
医療法人社団滉志会理事長、東大名誉教授 江川滉二氏に聞く
患者自身の治癒力活用 極めて少ない副作用が利点
転移がんや進行がんなどの新たな治療法として、体の免疫細胞の力を高めることで、がんを攻撃する「免疫細胞療法」が注目を集めている。この治療法に長年、取り組んできた医療法人社団滉志会の江川滉二理事長(東京大学名誉教授)に話を聞いた。
――いま、なぜ免疫細胞療法なのですか。
江川滉二・医療法人社団滉志会理事長 がんの治療法は手術、放射線療法、抗がん剤の三つが中心です。早期発見なら手術、放射線が有効です。ところが再発、転移する進行がんになると、これまでは抗がん剤治療しかありませんでした。
しかし、抗がん剤治療の有効性にも限界があり、副作用が強いという問題もあります。そして抗がん剤が効かなくなると、治療の打つ手がない、いわゆる「がん難民」になってしまいます。
私はそうした状況に置かれた進行がん患者の方々に、抗がん剤とは異なる働きをする治療の選択肢を提供したいと考え、免疫細胞療法を行うことにしました。そして、1999年に免疫細胞療法を専門に行う初めての民間医療機関として、瀬田クリニックを開設しました。
――どのような特徴がありますか。
江川 人間の体の中には、がんに対抗するTリンパ球など免疫細胞が存在しています。その力を極力強めるために、免疫細胞の体外培養という方法を用いることがこの治療法の特徴です。
免疫細胞療法にも活性化自己リンパ球療法や樹状細胞ワクチン療法、またそれらの変形などいろいろあります。患者さんから採血をし、がんに対抗するTリンパ球を体の外に取り出します。それを培養し、例えば、一番多く行われている活性化自己リンパ球療法では、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化、大幅に増殖させて、元の患者さんの体に戻して治療を行います。
公的医療保険適用外が問題点
――メリットとデメリットについて。
江川 まず、体に優しい治療法であることです。患者さん自身の治癒力を使って患者さんがより元気になる方向の治療ですから、従来のどの治療法を組み合わせても悪いわけはなく、上手な組み合わせによって治療成績の向上が期待できます。
また、副作用が極めて少ない治療法であるため、患者さんの体調がどのようであっても行うことができますので、「あきらめない治療」として提供することができます。特に外科手術後の再発の原因になる目に見えない微小な残存がん等であれば、治癒をもたらす可能性もあります。
一方、治療費が高額だという問題がありますが、これは一人一人の患者さんの免疫細胞を個別に無菌培養するには、人件費も設備費も莫大にかかるので、現状では致し方ないところです。抗がん剤治療に比べて特に高額なわけではありませんが、公的医療保険の適用になっていないことが問題です。
――現在までの治療成績をどのように分析されていますか。
江川 99年4月から04年3月までに治療を行った方についての調査では、がんが消えた場合や明らかに縮小した場合、縮小しなくても大きくならない状態が長期間続いた場合を効果があったと考えると、約4分の1の症例で有効と判定されました。
当クリニックの患者さんは、極めて重症な方が多いので、4分の1といっても決して悪い数字ではないと思っています。がんの大きさによる判定では無効であっても、命が延長した方、自覚症状が改善した方は大勢いらっしゃいます。
――この療法の今後の可能性について。
江川 放射線や抗がん剤などと免疫細胞療法をどのように組み合わせて行うのが一番良いかについては、まだ十分に分かっているわけではありません。このような点を検討し、最良の治療法を確立することが今後の課題です。もちろん、免疫細胞療法自体を改良していくことも必要で、そのための研究も進めています。
――いま、なぜ免疫細胞療法なのですか。
江川滉二・医療法人社団滉志会理事長 がんの治療法は手術、放射線療法、抗がん剤の三つが中心です。早期発見なら手術、放射線が有効です。ところが再発、転移する進行がんになると、これまでは抗がん剤治療しかありませんでした。
しかし、抗がん剤治療の有効性にも限界があり、副作用が強いという問題もあります。そして抗がん剤が効かなくなると、治療の打つ手がない、いわゆる「がん難民」になってしまいます。
私はそうした状況に置かれた進行がん患者の方々に、抗がん剤とは異なる働きをする治療の選択肢を提供したいと考え、免疫細胞療法を行うことにしました。そして、1999年に免疫細胞療法を専門に行う初めての民間医療機関として、瀬田クリニックを開設しました。
――どのような特徴がありますか。
江川 人間の体の中には、がんに対抗するTリンパ球など免疫細胞が存在しています。その力を極力強めるために、免疫細胞の体外培養という方法を用いることがこの治療法の特徴です。
免疫細胞療法にも活性化自己リンパ球療法や樹状細胞ワクチン療法、またそれらの変形などいろいろあります。患者さんから採血をし、がんに対抗するTリンパ球を体の外に取り出します。それを培養し、例えば、一番多く行われている活性化自己リンパ球療法では、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化、大幅に増殖させて、元の患者さんの体に戻して治療を行います。
公的医療保険適用外が問題点
――メリットとデメリットについて。
江川 まず、体に優しい治療法であることです。患者さん自身の治癒力を使って患者さんがより元気になる方向の治療ですから、従来のどの治療法を組み合わせても悪いわけはなく、上手な組み合わせによって治療成績の向上が期待できます。
また、副作用が極めて少ない治療法であるため、患者さんの体調がどのようであっても行うことができますので、「あきらめない治療」として提供することができます。特に外科手術後の再発の原因になる目に見えない微小な残存がん等であれば、治癒をもたらす可能性もあります。
一方、治療費が高額だという問題がありますが、これは一人一人の患者さんの免疫細胞を個別に無菌培養するには、人件費も設備費も莫大にかかるので、現状では致し方ないところです。抗がん剤治療に比べて特に高額なわけではありませんが、公的医療保険の適用になっていないことが問題です。
――現在までの治療成績をどのように分析されていますか。
江川 99年4月から04年3月までに治療を行った方についての調査では、がんが消えた場合や明らかに縮小した場合、縮小しなくても大きくならない状態が長期間続いた場合を効果があったと考えると、約4分の1の症例で有効と判定されました。
当クリニックの患者さんは、極めて重症な方が多いので、4分の1といっても決して悪い数字ではないと思っています。がんの大きさによる判定では無効であっても、命が延長した方、自覚症状が改善した方は大勢いらっしゃいます。
――この療法の今後の可能性について。
江川 放射線や抗がん剤などと免疫細胞療法をどのように組み合わせて行うのが一番良いかについては、まだ十分に分かっているわけではありません。このような点を検討し、最良の治療法を確立することが今後の課題です。もちろん、免疫細胞療法自体を改良していくことも必要で、そのための研究も進めています。
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